提督のmain

□あなたの温度2
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「チガウワ...私ですよ長門さん。」
はっとした表情になり長門が振り向く、そこには真っ白な姿をした空母棲姫ではなく弓道着に身を包んだ赤城の姿があった。
「っ..?!なっ!!」
驚いたのは長門だけではない、武蔵 金剛 比叡 陸奥 大和さえも口に手をあて、呆然と立ち尽くしてしまった。
「お久しぶりですね、いつぶりでしょうか」
赤城はうーんと顎に手をあて考え込んだ後思い出したかのように人差し指をぴんとあげ、
「ざっと一週間前...ですね」
ニコっと微笑む赤城、その笑顔に迷いは一つもない。
「お前は誰だっ!!赤城はもう沈んだ!!お前は赤城ではない!!」
武蔵が吠えるように声を張り上げる、赤城はため息をつき瞼を閉じた
「....ひどいですね武蔵さん、私は待ってたんですよ...あなた方を、そして...」
顔をあげ、そして瞳をあけ、笑顔で。

「加賀さんを」

そういうと赤城は弓を構え矢を引く、そして放つ。
幾つもの艦載機に分裂、潮達がいる方へと向かっていった、
「っ...あっちには加賀がいマース!!どういうことですカ?!赤城!!」
何が何だかわからない金剛に赤城はついっと海面を滑り金剛に近づく、
「どういうことって...敵の艦載機がいるのでしょう...?排除しなきゃ....ね」
赤城の様子がおかしい、まるで楽しんでいるかのように笑っている、
「お姉さまっ!!離れて!!」
比叡の声に我に帰る金剛、それと同時に水柱が金剛を包み込む、
「っ!!!」
がくりと膝を水面につく金剛、大破してしまっている、
「よくもお姉さまをっ!!!」
八門ある砲塔を赤城に向ける、赤城は笑ったままその場から動かない、
「撃てるのですか?仲間を...それをあなたのお姉さんは許しますか...」
ぎりっと歯をならす、口の中ではわずかに血の味が滲んでいる、しかし引くわけにはいかない、
赤城は比叡を見下すような目つきにかわった、そしてまた弓を構え比叡の鼻先向ける、
「撃たれたいんですか?」
「っ?!」
身体が動かない、どう動こうとしても言うことを聞かない、
「比叡っ!!!」
金剛の声がしたと思うと物凄い衝撃が走った、比叡自身ではない目の前でだ、あまりの衝撃に目を塞いでいた比叡だが少しずつ目を開けた時、
「え......?」
目の前に立っていたのは赤城ではなくボロボロの金剛、
「....」
金剛は最後の力を使い果たしたように水面に崩れ落ちる、それと同時に比叡は金剛が自分を守って盾になったのだと気づいた、
「お姉さまぁあああっ!!!」
比叡の悲鳴に気づいた瑞鶴、赤城。
「なに?!比叡の声?!」
声のした方をみると金剛から黒い黒煙が吹き出しているのが見て取れた、
「金剛?!嘘っ...!!」
「金剛さ...ん」
瑞鶴と赤城は速度をあげ金剛の元へ向かう、しかし赤城が立ちどまる、
「赤城さんどうしたの...はやく行かなきゃ」
「...加賀さんっ!!!」
指をさし赤城が叫ぶ、その方角をみると潮を囲む水柱、そして必死に撃ち落としにかかっている川内と綾波の姿が、
「マズイっ!!もう弾がもたない!!綾波は?!」
「もうありませんっ!!」
「ふたりともっ....」
赤城の胸を締め付ける何か、その様子を眺め何かが頭に引っかかる。そう、このようなことが前にもあったような...
「頭の中で....何かが....」
そんな赤城を見向きもせず瑞鶴は直掩機を放つ、少しでも綾波たちの負担を減らすためだ、
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