崩れさる理性…その後日談
□政宗編
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・・・視察先でのあの約束
「一緒に学ばせてください」
「はしたない事かとは、思うのですが・・・もっと政宗様に触れていたいと思うのです」
「はしたないとは思わない。俺もそう思っている」
「米沢に帰っていとまができたら」
そんな会話のやり取りを政宗様とゆったりと過ごしていた時間に、つい先日かわした褥での指南書をお互いに学んでみようという約束を漠然と思い出していた。
「・・有里・・・有里!」
政宗様に呼ばれ、はっと我にかえる
「あ、はい。すみません」
「・・・どうかしたか?」
「あ、あの・・・そのッ・・・」
とっさに答えられず、顔を見つめると政宗様も察したのか顔を赤らめ、
「久方ぶりに、今晩は一緒にゆっくりやすむとしよう」
そう仰ってくださるに、まだ、先になるのかと思いつつも、どこか安心したような気持ちにもなるが残念な気もする。
それでも、久方ぶりに一緒に眠れるのかと思うと満面の笑みがこぼれてしまい、いそいそと、膳の後片付けもはかどるのだった。
それから数日後の晩いつものように政宗様の部屋へ向かうと、文机の上には1冊の本があった。
「それですか?」
「・・あぁ」
座す私の後ろへ回り込み、抱き込むように政宗様が座り、後ろから手を回し指南書を見やすいように、紐解いてくださる。
「細かく、びっしり書いてありますね。今ならここでしょうか。女性を後ろから抱きしめている場合」
指で指すと、該当箇所を開きおもむろに読み始める・・・
「女性を後ろから抱きしめている場合・・・髪をなでると緊張がとけ・・・」
(ん、政宗様・・・髪の毛を触って、梳いてくれてる・・・)
そっと後ろを振り返り、政宗様の顔を見上げてみる
「女性が見上げてきたら、口付けをし・・・」
政宗様の顔が近づきお互いに唇を求め合う。ついばむような軽い口付けが、舌で唇をなぞり、その輪郭を確かめ合い次第に口付けが深く激しくなり、褥に押し倒される。
口付けの合間に見せる彼の表情は、まっすぐな気持ちが、その目にその表情に現れていて、目を反らすことができない。
どこまでも吸い込まれてしまいそうな、彼の目はそんな目だ・・・。
どんどんと私を自分の掌に追い込んで行く
心地良さに堪らず声を上げると
「もっと出せばいい」
更に私を刺激するのだ・・・目を潤ませ息も絶え絶えに見上げれば、更に燃え上がらせてしまう。
こんなに情熱的だったのだ、彼は。寡黙で冷静で知的で・・・そして獲物を狩る。
貴方の瞳には私しか映りこんでいないのですね。その髪の毛の果てから全て私のものになってくださるのですね。
私は政宗様の夜着に手かけるのだった・・・