激情!霧隠才蔵
□温泉編
1ページ/4ページ
「才蔵、有里と一緒に湯治に行って来い。これは任務だからな、有里がお目付け役だぞ」
幸村の言葉と共に御屋形様より賜った金子が手に渡される
「任務ねぇ・・・ふーん」
興味なさそうに声に出すものの、自分でもまんざらではなく、どこか頬が緩んでしまう気がした
「才蔵さん、お目付け役ということは、ずっと一緒にいられますね」
ふふふと嬉しそうに頬を赤らめる有里
「上田のあたりでは、何という場所の温泉になるのですか?」
「別所・・・まぁ山の方の古くからある温泉だね。日本武尊(やまとたける)の頃に見つかったっていわれがある」
「では、とても由緒があるのではないですか?楽しみです。湯治ですから、自分で調理するのですよね?」
「才蔵さん、何か向こうで食べたいものはありますか?」
有里目はをキラキラと耀かせて尋ねるものだから、その表情を凝視してしまった
「才蔵さん?」・・と顔を覗き込まれる
「たまご」
「?」目が点の有里
「温泉たまご」
「あぁ・・・源泉につけておくと、かたまるあれですか」
ふむふむと料理人のやる気に火を付けたのか、腕まくりをして
「才蔵さんのために、むこうでも美味しい料理を作りますね」
うふふと楽しそうに厨房へと去る有里を見て
「才蔵、お前尻に敷かれてるのか?」
真顔で幸村がこちらを伺いやがる
「幸村にはそう見えるのかい」
尻には敷かれてないが、完全に飼いならされちまってるのは否めない
「お前の目、一瞬だけ死んだ魚の目だったぞ」
何でこんな時に鋭い観察力になるのかねぇ・・・
「フッ、有里が幸せならそれでいいさ」