激情!霧隠才蔵

□温泉編
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「才蔵、有里と一緒に湯治に行って来い。これは任務だからな、有里がお目付け役だぞ」


幸村の言葉と共に御屋形様より賜った金子が手に渡される


「任務ねぇ・・・ふーん」


興味なさそうに声に出すものの、自分でもまんざらではなく、どこか頬が緩んでしまう気がした

「才蔵さん、お目付け役ということは、ずっと一緒にいられますね」

ふふふと嬉しそうに頬を赤らめる有里

「上田のあたりでは、何という場所の温泉になるのですか?」

「別所・・・まぁ山の方の古くからある温泉だね。日本武尊(やまとたける)の頃に見つかったっていわれがある」

「では、とても由緒があるのではないですか?楽しみです。湯治ですから、自分で調理するのですよね?」

「才蔵さん、何か向こうで食べたいものはありますか?」


有里目はをキラキラと耀かせて尋ねるものだから、その表情を凝視してしまった

「才蔵さん?」・・と顔を覗き込まれる



「たまご」



「?」目が点の有里


「温泉たまご」


「あぁ・・・源泉につけておくと、かたまるあれですか」
ふむふむと料理人のやる気に火を付けたのか、腕まくりをして

「才蔵さんのために、むこうでも美味しい料理を作りますね」

うふふと楽しそうに厨房へと去る有里を見て


「才蔵、お前尻に敷かれてるのか?」


真顔で幸村がこちらを伺いやがる


「幸村にはそう見えるのかい」


尻には敷かれてないが、完全に飼いならされちまってるのは否めない


「お前の目、一瞬だけ死んだ魚の目だったぞ」

何でこんな時に鋭い観察力になるのかねぇ・・・


「フッ、有里が幸せならそれでいいさ」
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