激情!霧隠才蔵
□囲炉裏編
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ここは上田城本丸母家の屋根の上
スタスタと瓦屋根の上を器用にあるく男才蔵
生業「忍」
生業における階級「上忍」
好物「団子」
有里がいるであろう厨へと歩みを進める
「くすくすくす」
「・・・な?だろ?」
(幸村と有里?)
(何してんのさ)
「駄目ですよ。幸村様」
「こんな時でなけりゃできねーだろ?」
「くすくすくす」
(こんな時ってどんな時さ)
(有里も楽しそうに・・・)
思わず才蔵は表情をしかめる
厨房では仲睦まじく団子を作る二人の姿がうかがえる、はたから見れば恋仲にも見えそうな二人
暫し、じぃと二人の姿をその瞳に映しため息を漏らす
(嫉妬?困ったもんだ、らしくないね。おおかた、幸村が団子に辛子でも仕込んでやれって、そそのかしてんだろうけど、面白くないもんだね)
(・・・・・)
怪しい微笑を浮かべ、そっと厨房へ近づくことにした才蔵であった
「何してんのさ」
背後から有里に近づき耳元で呟けば
「ひゃっ!!!!!」
目を大きく見開き顔を真っ赤にした有里がすぐさま振り向き
「才蔵さん・・・」と、じっと見上げてくる
「幸村も団子作ってるんだ?へぇ」
「こ、これな・・ブッ。グホッ・・・ブッ・・・。」
「お、オマエに、ブッ・・差し入れだ、差し入れ!」
(馬鹿・・・。丸分かりじゃないか。肩までふるふる震わせて)
おもむろに才蔵は出来上がった団子の山から一本の団子を手に取り幸村の口に突っ込んだ
「ふぁいぞぅ・・もごもご・・・」
「自分で作った団子はさぞかし美味いだろ?」
もごもご口を動かす幸村の目が赤くなり涙が浮かびはじめたのは言うまでもなく
山盛り団子の皿を片手に有里の手を引き自分の屋敷へと向かうのであった
「くっそーーー!さいぞ、ゲホッ、グホッ・・・ぉーーーー!!」