地獄の天使
□6話
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牡丹が第二補佐官に就任してから数週間たった頃…。
「閻魔大王ッ!!」
「阿鼻地獄で川が氾濫していますっ!」
「天国から要請書が…。」
「黒縄地獄は財政破綻しそうですっ!!」
「大王――ッ!!また亡者がドッと…。」
閻魔は手一杯の仕事に追われていた。
「うわ――!今一杯だよっ!!」
「大王―。果樹園を焼いた者はサトウキビでめっちゃ叩くって…。現代に合いません。改定しましょう。」
「あーえーっとね…。阿鼻は政令指定地獄でしょ?そっちで何とかして!…天国のことは知らないよー。鬼灯君にでも相談してっ!」
ここで唐瓜が気付く。
「アレ…?そういえば、鬼灯さまと牡丹姉…じゃなかった…牡丹さまは…」
「視察に行ってるよ。この忙しさでさぁ、二人ともあっちこっち引っ張りだこだよ…。」
ところ変わって針山地獄。ここには、鬼灯と牡丹がいた。
「針山は特に問題なし…。」
『不喜処地獄はどうですか?』
一人の獄卒が答える。
「従業員不足ですねえー…。」
ここに、唐瓜が駆けてきた。
「鬼灯さまぁー!天国の桃源郷から人材貸し出しの要請が…。」
『唐瓜!』
「牡丹姉もいたんだ…。」
「天国の世話までしてられませんよ…。」
「オイ、今こっちの相談してんだぞ。割り込むなよ…。」
牡丹には一つの疑問が浮かんだ。
『…なんでこんなに私たちに仕事回ってくるんでしょうか?やけに多い気が…。』
鬼灯が答える。
「どうせ、あの阿呆が面倒だからって、私に相談しろとでも言ったんでしょう。」
「今さらっと阿呆って言った?」
「桃源郷ですか…。まぁ、よくも罪人もいないのにヌケヌケと…。ゆったりたっぷりのんびりしてるくせに…。」
なぜか牡丹がボソッと…。
『旅ゆけば楽しい…ホテル三日月…。』
「「………??」」
この言葉が聞こえなかったのか、鬼灯は続ける。
「なんでもかんでも私たちに回してくる。」
牡丹が呑気なことを言い出した。
『でも、最近慣れてきてなんだか楽しいですよ!』
「貴女という人は…。」
何だか呆れられているようだが、牡丹は気にしていないようだ。