ジョジョ長編

□一話
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SPW財団から緊急の用だと呼び出され、何事かと思えば、日本に来いというジョセフからの伝言。
またスタンド絡みかと聞いてみれば、あちらは相当忙したかったのか、詳しいことは会って話すなどと言われ電話をきられてしまった。

嫌な予感しかしないが、仮にも財団の一員である私はそれ不思議に思いながらも無視はできないし、彼には恩があるため無碍にはできぬと電話越しにため息をついたのが昨日のこと。

そして現在、この住所の家の前で待っていろと指定されたのは、《空条》という表札を掲げた時代錯誤も甚だしい日本屋敷だった。

夜中の山奥に一人で……しかもほとんど来たことのない国となれば心細くなる。
約束の時間になっても待ち人はなかなか現れず、本当にここであっているか不安になり伝言のメモをポケットから取り出そうとした時、向こう側から声がした。


「ルノウ!」
「ジョセフ……かな?」


頭にかぶっていたフードを持ち上げて声のした方へ振り向いたら、そこには三つの人影があった。
暗くて遠いせいで相手の顔がよく見えないルノウはそちらに近づいていくと、人影の一つが猛スピードでこちらに近づいてきた。


「んぶぁ」
「ルノウ、元気だったか?」
「う、うん」


この突然の抱擁。
間違いようのないジョセフの声とそのたくましい体に半ば押しつぶされながら、返事をするルノウ。

離してくれと胸を叩くと視界がひらけて、あと二つの人影の正体も顕になる。


「ジョースターさん、彼女が?」
「そう、話しておった協力者じょ」


協力者?
おそらく今回の件のことだろうが、この二人も関わりあいになるということだろうか。
まさかスタンド使いとかいうんじゃないだろうな。


「私はモハメド・アヴドゥル、スタンド使いだ」
「あ、ルノウです……よろしく」
「そしてこっちの無愛想なほうは空条承太郎、スタンド使いでありジョースターさんの孫だ」
「ふん……」
「よろしく、二人とも」


……マジっすか。
スタンド絡みであれば戦闘はほぼ必須だが、そういうことは一人がいいと前もって言っているはずだ。
電話越しの嫌な予感がどんどん明確化されて、ルノウはジョセフの顔を見上げた。


「そんな不安そうな顔せんでも大丈夫じゃよ、とって食ったりはせん」
「そういうことじゃなくてっ」


まあまあ詳しいことは家の中で、と強引に屋敷内に連れていかれる。
抗議の声は全く届いていないようで、子供をあやすように頭を撫でられたもんだからひとにらみしてやった。
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