ジョジョ長編

□二話
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DIOという吸血鬼討伐の依頼を受けて一日がたった。

急に呼び出され、そういえば泊まるところがないと思い出したところで、空条のお母さんでジョセフの娘であるホリィさんの、泊まっていったら?というお言葉に甘えることにした。

そして翌朝。


「そういえば空条くんは?」
「ジョジョなら学校にいったぞ」
「……ほんとに学生なんだね、彼」
「ははっ」
「身内の前だぞお前たち」
「おっと失礼」


離れの茶室に大男二人と女が一人。
談笑しながら出された茶をふくんではまたはじまる何気ない雑談。
これから命懸けの旅に出ようというものの雰囲気とは到底信じられないが、それがジョセフ・ジョースターという人間なのだと思う。

ひとたび訪れた沈黙の中でルノウが思い出すのは、昨晩の出来事。

倒すべき相手、そして運命である。
昨夜、DIOとジョースター家とのあいだにある因縁について、ジョセフは語ってくれた。
ジョナサン、ジョセフ、そして承太郎に受け継がれたジョースターの血統は、その意志に関係なく険しい戦いへと導かれる残酷な運命を持つという。

まだ高校生の承太郎に対してもそれは例外ではない。
他人であるルノウですら心につっかかるこの事実を、身内であるジョセフはいったいどんな気持ちで受け止めているのか……いや受け止めようとしているかは、正直はかりかねる。


「いいのかな……」


しまった、つい声に出してしまった。
慌てて顔を上げて気にしないでと言おうとしたところで、ジョセフがにかっと笑った。


「なんじゃあ〜まだ気にしとるのか?」
「へ?」
「宿のことなら気にするな、ホントならワシのほうでホテルを手配するべきだったところなのだしこれくらい当たり前じゃよ」
「あ、え、ああうんそうかな、そうだね、へへへ」
「昨日いただいた和食は絶品でしたな」
「そうじゃろそうじゃろ!ホリィの料理は世界一ィィィィ!」


話、そらされた。いや、逸らしてくれたといったほうが正しいか。
わかってるのだ、二人も空条のことを自分が思う以上に気にしている。

そっか、そうだよね。
しばらくこうして誰かとじっくり話す機会がなかったことを思い出した。
今こうして当たり前のように話していることがたまらなく嬉しい、と思ってもいいだろうか。


「ルノウ、おかわり入れましょうか?」
「うん、ありがと」
「アヴドゥル、ワシにも頼む」
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