ジョジョ長編

□二話
2ページ/3ページ

てーへんだてーへんだ。
空条が怪我して帰ってきたぞ。

しかし何がてーへんかというとその怪我の具合とかそういうんではなく、一番問題なのは空条が連れてきた男のことなのである。

男の名は花京院典明といい空条の高校に転校してきたのだという。
そして突然空条を襲ったスタンド使いであり、自らをDIOの部下だと名乗ったそうだ。

花京院のひたいに埋め込まれた《肉の芽》というDIOによる洗脳の痕跡を、空条のスタンド、スタープラチナで駆除すると花京院が目覚めた。


「大丈夫?」
「……はい」


ルノウが声をかけても花京院はぼうっとして、しばらく何か考えるようにし、ようやく口を開いたかと思えば、何故自分を助けたのかと空条に聞いた。
そこには、敵である空条が救いの手を差し伸べたその行為を非難するような色が感じ取れたが、それ以上に色濃くうつるのは歳に似合わない自責の念。

空条は花京院に背を向けたまま、ただ、自分にもわからんと返した。
それ以上の言葉はなく、だがしかしそれが今の空条の気持ちの全てだということは、ここにいる誰もが理解していた。

空条の言葉に静かに涙を流し始めた花京院と動かない空条みて、ルノウはそっと部屋をであとにした。
なんというか、こういうのって男だけのほうがいいような気がしたんだ。


「ルノウ」
「アヴドゥルさん、花京院くんの具合はどうです?」
「体調は落ち着いてるようだ、今は部屋で休んでいるよ」
「そう、よかった」


縁側で煙草を吸っていると、アヴドゥルがやってきて隣に座った。


「大丈夫、彼は強い」
「占い師はなんでもお見通し?」
「あなたは顔に出やすい、占うまでもないですよ」


いわれて、ルノウは笑った。
すると、煙草をもみ消すのを見計らい、アヴドゥルが口を開いた。


「あなたの話を聞かせてくれないか?」
「私の?」
「そう、君自身の話だ。なんでもいい、スタンドのことでも過去のことでも」
「んーそういわれてもなぁ」


改まってこういう質問をされてしまうと困ってしまう。
突然そんなことを言ったアヴドゥルは至って真剣なようで、言葉に迷ってしまう。
だが、確かにこれから共に戦うものとしてお互い知っておいた方がいいこともあるかもしれないと思い、ルノウはゆっくりと語りだした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ