ジョジョ長編
□二話
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まずスタンドの話からはじまり、過去の話をすこしだけ。
いつ発現したか。
ジョセフがあの地位に落ちつく少し前だったと思う。
空条にお披露目しそこねた空間を操る能力も少しだけ披露した。
やはりスタンド使い同士、能力に興味があったらしく、ブロックのように入れ替わる光景に感嘆の声をあげたアヴドゥルをつい笑ってしまうルノウと恥ずかしそうに咳払いをするアヴドゥル。
ジョセフとの過去。
ジョセフの兄弟子であり私の兄……とこれは兄弟子が亡くなってから判明したことだが、二人が世界を滅ぼそうとする強敵との戦いの中で敵に襲われたルノウが半吸血鬼となったこと。
煙草には血清の効果があること。
それからしばらくのあいだ、世間から身を隠し生活していたことと、スタンド能力が発現してからはSPW財団の仕事を請け負いながら吸血鬼についての研究に協力していたこと……。
相槌をうちつつ聞き役に徹していたアヴドゥルに、これで終わりだと言えばすこし残念そうだった。
「何か聞きたいことがあるなら聞けばいいのに」
アヴドゥルは首を横に振る。
「君の声は聞いていると落ちつくな」
君の話がきけてよかった、といって一息置いてから呟いた言葉はまるで口説き文句のようで。
「……はじめて言われたよ」
「そうなのか」
「アヴドゥルてそういうこというのね」
「思ったことを言っただけだが……?」
「天然たらしだ!」
「なんだそれは」
「なんでもない!」
なんと返していいかわからなかったが、とりあえずありがとうとだけ返してこの話は終わらせることにした。
人と深く関わらないようにしてきたルノウにとって、その誠実すぎる思いは結構心臓に悪い。
「まったくもう」
聞き返してきたアヴドゥルを無視して、ルノウは新しい煙草に火をつけるのだった。