黄金の地平(夢小説)

□黄金の地平 第3章1
1ページ/4ページ

真上から太陽が照りつける石段をフィンバールとミロは登っていた。すぐ近くに見えるのは処女宮。風変わりな黄金聖闘士が守護する宮である。フィンバールは処女宮の主が少しばかり苦手であった。巫女の仕事をサボっていた所に出会った日には、良く分からない有難いお説教をされるのだ。フィンバールの挙動不審な様子を見てミロは声をかけた。「脇道から行こう」「えっ・・・そんなのあったんだ?」フィンバールは目を丸くして言った。「毎回毎回、宮内に入るのも入られるのも嫌だろう?実はあるんだよ」ミロはフィンバールの表情を見てプッと笑った。フィンバールは少し拗ねてミロの背中を軽く叩いた。
脇道を通り処女宮を過ぎると天秤宮があった。主である童虎は中国に滞在している為、不在だった。無人の天秤宮を越えるとミロの守護する天蠍宮に辿り着いた。内部は身廊の先に執務室があり、側廊には居室へ続く扉や来賓室などが並んでいた。
今日の執務は終わっていたようで、小間使いの老婆と守衛以外は既に引き払っているようだった。「ちょうど昼飯時だし休憩していかないか?」ミロは左肩に抱えていた籠を入り口近くのテーブルに置いた。
「うーん、でも急がないと巫女長様に怒られちゃうし・・・」躊躇しているフィンバールをミロは抱き寄せて、そっと口づけた。「ひと月ぶりかな。俺から教皇に使いを出すように上手く言うから、今日はゆっくりしていったらどうだ」「うん・・・ありがとうミロ」フィンバールはミロの背中に手を回した。
「お腹空いた・・・」そう呟くフィンバールを見て、ミロは再びプッと笑った。「全く、色気より食い気だな。まぁいい。何か用意させよう」ミロはフィンバールの腰に手を回したまま、ダイニングルームへ導いた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ