黄金の地平(夢小説)

□ 黄金の地平 第3章2
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「ミロ!」演奏が終わるとリュートを手にした巫女が走って来た。
巫女はリュートを放り出すとミロに抱きついた。
ミロも愛おしそうに巫女を抱きしめ、そっと頭を撫でキスをした。
カミュはその光景を見て、微笑ましい思いと心臓を握り潰されるような黒い感情が湧き上がった。

「来てくれたのね。あなたの姿が見えたからちょっと張り切っちゃった」
そう言うと、巫女はミロから離れリュートを拾った。
そして、ミロと兄ライオスの隣に居る人物ーカミュに目をやった。
「こんにちは。あなたはカミュ?」
カミュはフィンバールに自分の名前を口に出されて心臓が大きく脈打つのを感じた。
しかし、顔は出さず冷静に答えた。
「君と会うのは初めてだが、どうして私の名前を?」
「ミロからあなたの事を良く聞くの。クールだけどとってもいい奴だって。
私はフィンバール。よろしくね。そこの広場で片付けをしているのがグウェニヴァー。
双子の妹なの。そっくりでしょ」
カミュは広場にいる美しい巫女を探した
。確かに二人は良く似ていたが、フィンバールを見た時のような胸の疼きはなかった。

「ところで・・・今日は泊まって行くんだろ?久しぶりに朝まで飲もうぞ、我が友たちよ」
ライオスはカミュとミロの肩をポンと叩いた。
「フッ、先に潰れるなよ。カミュも相当強いぞ」ミロは不敵に笑った。
「フィンはグウェンと晩飯の準備をしてくれ。
ああ、姉上にも伝えといてくれよ。
祭りの後片付けは男共でやっとくから」
「え〜・・・わかったわ。じゃあ後でね。ミロ、カミュ」
フィンバールはもっとミロと話したかったらしく、少し不服そうだった。
「そんな顔をしなくても、すぐに会えるだろ?」
ミロはフィンバールの額を優しく小突いた。
まあね、とはにかむとフィンバールは広場の方に駆けて行った。
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