さやみるきー小説
□恋愛被害届け
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目が覚めると私は病院にいた。
『痛っ、、』
頭が痛む。
「山本さん、目が覚めましたか?」
『えっ、、』
「申し遅れました。私、刑事の者ですがあの時の事を詳しく教えていただけないでしょうか。」
刑事、、?
あの時、、、?
『あの、、すいません、何の話でしょうか。』
「車のひき逃げ事件についてです。」
ひき逃げ、、?
全く記憶にない。
『すみません、、何も覚えてないです、、、。』
「そうですか、、。先ほど医師の方から山本さんの容態について聞いたところ、命に別状はないがもしかしたら記憶障害になってしまうかもしれないと言われたのです。」
『記憶、、障害、、?』
でも確かにどうして私がここにいるのか全く記憶にない。
「すみません、私この後も仕事が入ってしまっていて。記憶が戻ったらこちらに連絡していただけますか?」
そう言って名刺を渡してきた。
『、、わかりました。』
「では失礼します。」
そう言って刑事を名乗る女性は部屋を出て行った。
それと同時に女の子が慌てて入ってきた。
「彩ちゃん!」
、、この子、、
、、誰や、、、?
『どちらさんですか、、?』
女の子は驚いて目を丸くして、悲しそうな表情をした。
「私のこと忘れちゃったん?」
『すみません、、。』
「そんなこと言わんといてや!私のせいで、、私のせいで彩ちゃんをこんな目に遭わせてしまって、、」
この子のせいで?
どういうこと、、?
「なあ彩ちゃん?」
女の子は私の名前を呼ぶとゆっくり顔を近づけてきた。
『え、ちょ、、何して、、んんっ、、』
私の唇に女の子の唇が触れた。
、、、あれ?
この匂い、この感触、、
すると私の全ての記憶が一気に蘇ってきた。
唇が離れると目の前には愛しい人の姿が。
『美優紀、、』
「彩ちゃん、やっと思い出してくれたん?」
美優紀はフフッと笑った。
『美優紀、あのな、、』
「何も言わんでええよ。彩ちゃんの友達に全部聞いたから。」
『そっか、、』
「ごめんな。私のせいや。私、、捕まってしまうかもしれん、、」
『私が被害届け出したら捕まるかもな。』
「そんなん嫌や、、捕まったら彩ちゃんに会えなくなるやんか。」
そんなん言われたら、、
『なあ美優紀?』
「何?」
被害届けなんて出さないから、、
『愛を、、ちょうだい?』
いきなりの私の言葉に少し驚いたようだったけどすぐに笑顔をみせて
「愛だったらいつでもあげてるやん。」
美優紀は再び唇を重ねてきた。
fin.