さやみるきー小説
□初恋に似たもの。
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あれから3年、、
抜け殻になってしまった私を親友の菜々が毎日世話してくれて徐々に回復していた。
「彩、今日は私の友達紹介したいねんけど。」
『友達、、?』
「今日うちに呼んでん。」
ピンポーン
「噂をすればや!」
菜々は走って玄関へ向かった。
「じゃん!友達の美優紀!みんなにはみるきーって呼ばれてんで!」
「おじゃましまーす。」
美優紀という女の子は私がいる菜々の部屋に入ってきた。
その子を見た瞬間私の思考は止まった。
だって、、、
その子が私が初めて恋をした優花にソックリだったから、、、。
私の目からは知らず知らず涙が溢れた。
「え、、彩?なんで泣いてるん?」
私は言葉を失って菜々の部屋を飛び出した。
「ちょ、彩?!」
私は何も言わず家に帰り自分のベッドに突っ伏した。
似すぎやろ、、
でも急に出てきちゃって、、
失礼なことしたな、、。
とりあえず菜々に謝ろうと思って電話をかけた。
「彩?!どしたんよ!」
『菜々、、ごめん、、急に家出たりして、、。』
「いやええけど。何かあったん?」
『今日来てた、、美優紀ちゃんって子、、優花にそっくりだったんや、、。見た瞬間なにも考えられなくなってしまって、、、』
「せやったんか。」
『美優紀ちゃんにもごめんって言っといてくれる?』
「わかった。なんかごめんな、、。」
『菜々のせいちゃうよ。』
「ホンマごめん。じゃあまた家行くな。」
『ありがとう。』
もう嫌や、、
思い出したくない、、、
私の目の前で大切な人が跳ねられたあの時のことが頭から離れない。
私は泣き疲れて眠っていた。
次の日私は気持ちを抑えるために読書でもしようと近くの本屋さんにいた。
どの本にしようかな、、
私が本を選んでいると、、
「彩、、ちゃん?」
名前を呼ばれて振り向く。
えっ、、、
『優花、、、、?』
紛れもない優花の姿。
「私、、優花ちゃんじゃなくて、、美優紀です、、。」
『あっ、、美優紀ちゃん、、。』
「聞きました。菜々ちゃんから。ごめんなさい昨日は。」
この子は何も悪くないのに、、
私の鼓動が早くなる。
『、、こちらこそごめんなさい、、。』
あかん。
これ以上一緒におったらおかしくなりそうや、、。
『じゃあまた、、。』
「あっ!ちょっと待ってくださいっ、、」
『??』
「私が、、こんな事言っていいのかわからないですけど、彩ちゃんと仲良くなりたいんです。私が彩ちゃんの傷を癒したい、、。」
その言葉に私の気持ちは少し楽になった気がした。
「お友達になってくれませんか?」
この子なら、、
大丈夫かもしれない。
そう思った。
『こちらこそ、、よろしく、、。』
美優紀ちゃんは飛び跳ねて喜んだ。
その日から私は少しずつ美優紀に心を開いていった。
そして優花と同じような感情を持ち始めてしまっていた。
でも、、
美優紀には彼氏がいた。
それは優花の時のような関係にはなれないということ。
美優紀と仲良くなればなるほど美優紀に惹かれて、、
でも叶わなくて、、。
すごく苦しい毎日だった。
そんなある日、美優紀が海外留学する事を聞いた。
「私、将来は外国で日本語を子供達に教えたいねん。」
『そっか、、美優紀が決めたことなら応援すんで!』
ホントは行ってほしくない。
ずっとそばにいて欲しかった、、
けど美優紀の背中を私が押してあげないと美優紀は夢を叶えられない。
「私、、彩ちゃんの傷、少しは癒せたんかな、、?」
『もちろんや。頑張りいや。』
「でも寂しいな、、。もう会えなくなるんか、、。」
これから会うことが出来なくなるなら、、
『なあ美優紀?』
「何?彩ちゃん。」
『最後に私からひとつだけお願いがあるんやけど。』
「なになに?なんでもすんで!」
もう、、
これで諦めよう、、
『私は彩ちゃんの笑顔が大好きやで!だからずーっと笑っててな!って、言ってほしい。』
そう、、優花がいつも言ってくれた言葉を、、。
美優紀はすぅっと息を吸い込んだ。
「私は、、彩ちゃんの笑顔が大好きやで!、、だからっ、、ずーっと、、笑っててな、、っ、、」
美優紀は泣いていた。
私は我慢出来なくなって美優紀を抱きしめた。
「ありがとう。美優紀。頑張ってな。」
この恋はずっと忘れないから、、。
fin.