ナンバカ夢 長編
□1.新たな囚人
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猿門side
「新しい囚人...ですか。」
「あぁ。」
看守長は小さく頷くと、書類を俺に向けて差し出した。
会釈してそれを受け取り、軽く目を通す。
俺は今、看守長の呼び出しにより看守長室にいる。
突然の呼び出しで、何事かと思ったが...新しい囚人とはな...。
「囚人の大まかな情報は、そこにある通りだ。今日から君の所に入所することになった。」
俺の所...つまりは俺の担当する五舎のことだ。
看守長は時計を見ると、少し焦ったように、少し早口で話した。
「おっと...もうすぐ着く頃だ。すぐに迎えに行ってやってくれ。そして、君が直々に牢まで案内してやってほしい。」
「...?」
何だ...?なんだか、やけにその囚人のことを気にしてるようだが...
看守長は、俺が思ったことを察したようで、少し困ったような顔をした。
「まぁ...少し訳ありな者でな...。」
「と...言いますと?」
俺の問いかけに対し、看守長は悩むような、困ったような顔をすると、少し間をあけてから
「...いろいろとあるのだ。」
とだけ言った。