ナンバカ夢 長編
□3.五舎八房
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ハーネスside
「あとは頼んだぞ。何かわからないことがあったらこいつらに聞け。」
主任はそれだけ言うと、行ってしまった。
まぁ...主任なのだから、きっと忙しいのだろう。
「何かわからないことはあるか?大丈夫か?」
リャンが聞いてくる。どうやら気にかけてくれているらしい。
...ありがたいことだ。
「...今の所は大丈夫だ。」
「そうか...。」
そう言うと、リャンは考え込むような仕草をしながら私を見つめた。
......?
「なぁ、ハーネス。」
「...何だ?」
「もう少し、笑ってみないか?」
「??」
リャンは人差し指を立て、少し私に詰め寄るようにしながら言う。
「ここに入って来た時から、ずっと下を向いているし、声も小さい...。もう少し、明るくしてみてはどうだ?」
「...えっと...」
「確かに...新しい環境だ、不安もあるだろう。だが、ここは決して悪いところではない。私たちもいる...だから、もう少し明るくなれ。」
「......。」
リャンは、まっすぐと私を見て言った。
周りの二人も、それに同意するように頷いている。
.........。
そうだな...。決めたではないか...。私は、ここで全てやり直すのだと...。こんなことでは駄目だ...。
「...そうだな...。ありがとう。」
私は、今できるだけの笑顔で返した。
三人は満足そうに私を見つめ返した。