ナンバカ夢 長編
□6.薬
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しばらく待っていると、翁さんと89番が戻ってきた。
「早かったですね。」
「まぁ、今日は軽い診察だけだからな。とりあえず大丈夫そうだしな。」
「そうですか...。」
彼がこう言うんだから、本当に問題はないのだろう。89番の奴も、もう大丈夫そうだ。
「とりあえず、薬だけは出しとくけどな。おーい!神八!89番の薬を持ってきてくれー。」
「ハイ、先生。」
翁さんが部屋の奥に向かって呼びかけると、機会音の混じった返事が返ってきた。
「89番サンのお薬をお持ちしました。」
「おう、ありがとな。」
翁さんはその薬を受け取ると、書類と薬袋の中を交互に見て確認する。
「....!」
某然とした様子で神八さんを見つめる89番。
「気になるか?あれは看護師アンドロイドの神八さんだよ。」
「アンド...ロイド...。」
釈然としない様子で神八を見つめ続けている。まぁ、突然あんなの出てきたら驚くよな。
「よし。ほら、お前の薬だ。いくつか新しい薬もあるから......まぁ、メモを入れといたからちゃんと読んでから飲め。」
「あぁ...ありがとう。」
「もう帰って大丈夫だぞ。」
「ありがとうございました。」
「おう...って、そうだ。猿門、ちょっと来い。」
89番を連れて外に出ようとすると、翁さんは思い出したように俺のことを呼び止めた。
「なんですか?」
89番を扉の前で待たせて、一旦翁さんの元へと戻る。
「今は問題なさそうだが...何かおかしな点があったら早めに対処しろよ...。」
小さな声で耳打ちされる。
「...?はぁ...。」
「それだけだ。」
「さ、帰った帰った。」と翁さんに言われ、待たせていた89番を連れて医務室から出る。
運動の時間も過ぎてるし...八房に連れていけばよさそうか。
「八房に戻るぞ。」
89番は小さな声で返事をすると、後ろをついてきた。
にしても......
「お前...何か病気持ちなのか?」