Shine
□第1章
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遂に出発の日の朝を迎えた
オーキド博士、ケンジ、サトシの母、そしてきらりの母もサトシの見送りに来ていた
オーキド博士や、ポケモンたちに挨拶を済ませたサトシはきらりの母にたずねた
「きらりは・・・行かないんですか」
その問に、どう答えたらいいのかと母は少し苦い顔をした
「そうね、ぎりぎりまで、どうするか、悩ん出たみたいなんだけど・・・」
「そうなんですか、じゃあ今回の旅は寂しくなるなぁ」
少し残念そうな表情を見せるサトシに、ケンジが微笑む
「昨日の夜にくるりに連絡しておいたからきっとくるりが港で待ってくれてると思うよ」
「そうか、でも・・・やっぱりきらりとも、また旅がしたかったんだけどなぁ・・・」
1度は明るい顔を見せたサトシだったが
最後に寂しそうに俯き、出発した
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「きらり。サトシくん、あなたも一緒が良かったって、寂しそうにしてたわよ
・・・追いかけるなら、まだ間に合うわよ」
きらりの部屋の戸を叩きながら話すが
一向に返事が帰ってこない
これはもうダメかなと、諦めかけたそのとき
「ママ、誰に話してるの」
後ろで声がした
振り返るとそこには昨日用意した服を着て、リュックを背負ったきらりがいた
「行く気になったのね・・・」
「うん、まあね
あ、いけない早く行かないと・・・」
慌ただしく靴を履いているきらり
を見て、母は笑った
「走りなさいよ、じゃないと間に合わないわよ」
「大丈夫だよーギャロップに乗っていくから」
母の問いかけに答えるきらりの声は昨日までの迷いのある声ではなく、堂々とした声だった
その声に母は少しだけ、寂しく感じたがすぐに娘の成長を喜ぶ気持ちでいっぱいになった
「行ってきまーす」
そう言って、元気にギャロップに跨り走り去っていく娘の背中が
母には以前よりも大きくなったように見えた
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「ピカピ・・・」
「寂しそうな顔するなよピカチュウ、俺だって寂しいけど、これはきらりが決めたことなんだ」
皆との船の前まで来てでサトシとピカチュウは寂しそうに来た道を振り返った、そこに、
きらりの姿があるような気がして
何も無い道に諦め船に乗り込もうとしたそのとき
「サトシくーん、ピカチュウーッ!!」
聞き覚えのある叫び声が後ろから聞こえた
「きらり!
…ったく、遅いぞー!心配しただろ!」
「ごめんごめん、さっ行こうか」
そう言ってニコッと笑うときらりはギャロップをボールに戻しサトシの隣を歩き始めた