Shine

□第4章
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「ねぇねぇシンジくんはさぁ」


「オイ、人の話ばっかり聞いてどうするんだ」


「え、別にどうするって・・・言われても


知りたいだけなんだけど」


「たまには自分の話もしたらどうだ」


「あ、それもいいかもねシンジくん聞きたいことあるの、今なら答えてあげてもよいぞ」


「・・・」


「まって、そこで何か言ってくれないと私が変な人みたいになる」


あからさまに うわぁ というような顔をしたシンジにくるりが苦笑いする


何をしても笑ってくれないシンジの様子にくるりは絶対笑わせてやる・・・とムキになっている



笑うまでボケ続ける気なのだろうか・・・




「で、本当に何か聞きたいことはないの

急に言えって言われても、何か聞いてくれなきゃ」


「・・・お前はどうして旅に出たんだ」


「まあベタな理由なんだけど

四天王に憧れたからかな」



「へえ」



「他には他には?」



「・・・今までの略歴は」



「略歴・・・って各地方のポケモンリーグの話でいいの?」


「あぁ」


「そうだねー、カントー、ジョウト、ホウエンと回って来たけどそんなに結果は良くないかな


ベスト4が最高記録」


「へぇ」


「何その反応」


「なんでもない」


「なんでもなくないよ、ちゃんと聞いてた?」



「聞いてる。別に、そんなもんなのかと思っただけだ」


「今馬鹿にした」


「してない」


「嘘」


「はぁ・・・“お前でも”そこまでか、そう言ってる」


「え」



シンジの返答が意外だったため、ポカンとするくるり


たんたんと話を進めるし、反応も薄いからてっきりどうでもいいのかと思っていた、聞いていないんじゃないかと疑っていた。


けれど、ちゃんと聞いてくれていたんだ・・・



それに、今・・・褒められたよね、いや私がめんどくさいから丸め込もうとしただけかもしれない・・・けど



頭の中がゴチャゴチャして反応に困り黙りこむくるり


「・・・アホ面」



「なっ、アホじゃないよ!!」


「ヤドンみたいな顔だったぞ」



くるりの怒ってた様子を見てさらに面白がるように嫌なことを言うシンジ



やっぱり・・・絶対褒められてなんかない・・・!


そう思うと今まで散々色々考えた自分がばからしくなってきたくるり


大きくため息をつくそして


「ふーん嫌味のつもりなんだろうけど、私はヤドンって可愛いと思うから可愛いって褒めてもらってると解釈しますけどね」



と悪態をつく


「まぁ、悪くはない・・・かもな」


"シンジくんのことだからどうせまた嫌味でも言ってくるんだろうな"なんて考えていたから意外すぎてまたポカンとするくるり、しかしまた馬鹿面と言われる・・・いけないいけない、そう首を横に振り



「今日のシンジくんおかしいよ・・・熱あるんじゃないの」



とシンジの前髪を上げでこに手を当てるくるり


「お前何して・・・」



「あ、シンジくん、意外と髪きもちいかも」



シンジが嫌そうな顔をするも、文句を言う前にくるりに遮られてしまった



よほど気に入ったのかシンジの髪を触り続けるくるり



そんなくるりの様子にシンジが口ごもる


「あっ、ごめん嫌だったよね・・・」


それまで楽しそうにしていたくるりもハッとした後一気にシュンとした顔になり謝る


楽しそうに笑ったり、謝ったり、ころころ表情が変わるくるり


まったく、忙しい奴だな・・・とシンジも表情が少し緩む


呆れたのか・・・それともいい意味で緩んだのか、それはくるりにはわからないが



「別に・・・気にしてない」


その一言でパァッと明るい顔で顔を上げて「本当に!?」と声を上げるくるり

まだ少しだけ不安げな顔をしている


「嘘をつく必要があるのか」


「え、へへそれもそうだよねっ」


一瞬で曇りのない笑顔を見せる
くるり


こんな事を気にしてる場合じゃない

自分が信じた相手だもん、彼のこともっと信頼してもいいんだよね・・・


「よしっ・・・」


またいつも通りくるりはシンジの隣を歩き始めた
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