Shine

□第5章
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ジムリーダーのポケモンがシンジとのバトルでの負傷が激しかったため、サトシのジム戦は延期となり明日行われることとなった。


結局サトシのジム戦を見ることになったシンジとくるりも今日はポケモンセンターに泊まることになった


サトシは手持ちのポケモンたちたちと、ポケモンセンターのロビーで作戦会議をしていた



「俺の真似でもすれば、勝てるかもな」


「お前のマネなんかするもんか!ヒコザルにあんな戦い方をさせるようなバトルなんか尚更だ!!」



そこに、シンジが嫌味を言いにやってきて、また2人は言い争いをはじめる。それには、シンジの後ろにいるくるりも呆れて頭を抱えていた。


さらにそこにタイミング悪く、先程シンジからマリルリを受け取った少年がお礼を言いに来たため今度はマリルリのことで言い争いが始まってしまった


サトシは弱いと判断したポケモンを逃がす、シンジのスタイルが相当気に入らないらしい



確かに、仲間のポケモンたちを信頼し、一緒に強くなろうというサトシの姿勢とは真逆の考え方といってもいいだろう。


シンジもまた、サトシのそういうところが気に食わないらしく、だから言い争いに発展する。


くるりはどちらかと言えばサトシに近い考えを持つがシンジの考えやバトルスタイルのことは認めているようだし、苦手な事を無理強いする気にもなれないからポケモンにとって、いい方を選択するべきだと思うので



シンジがポケモンを逃がす事にも特に異論は無かった




「じゃあ、私が勝った時の話・・・してあげよっか」


この空気を変えようとくるりがニコニコとサトシに声をかける。くるりの話ならきっとサトシのためにもなるし、ちゃんと聞いてくれるだろう。



「おお俺も、くるりの話なら聞きたい」



「そうだな、くるりの戦い方なら安心だしな」




勝手にワイワイ盛り上がるくるり、サトシとタケシの3人



「・・・」



くるりの腕をグイッと引っ張るシンジ
なんだか不愉快そうな顔をしていた。くるりの方は突然のことに驚ききょとんととした様子でシンジの顔色を窺った




「シンジくん・・・どうしたの、急に」



「行くぞ」



「おい、待てよくるり困ってるだろ、それに今は俺と話を・・・」



「うるさい」



サトシの声がシンジをさらにイラつかせたのかサトシの話を途中で遮ってイライラした口調でサトシの方を少しだけ睨みつけて言い放ったその言葉は今までで1番怒気のこもった声だった



そんな様子を見たヒカリがタケシときらりにたずねる



「ねぇ、あれって・・・ヤキモチ・・・」



「まさか、それは無いとは思うけどなぁ・・・でも俺もちょっと思った」


「アイツにかぎってそれはないでしょうよ」



三人は疑うような眼差しでそのまま外に出ていくくるりとシンジの背を見送った







***






「ねぇ、シンジくん、シンジくんってば!」



一言も喋らずただ自分の手を引いて歩くシンジに不安になったのか、くるりが手を振り解いた




「何怒ってるの・・・私何か・・・した?」



「違う」



「じゃあ・・・なんで」




ただ、サトシと楽しげに話すくるりの声や態度に苛立った、けれど何故かはわからないし、うまく言葉にも出来ない



どうしたものかと考えていると



くるりが不思議そうな顔でシンジを見上げ尋ねる



「・・・言いたくないの?それとも言いにくい事?


なら無理に言わなくてもいいんだよ」



そう言って優しくシンジの頬を撫でるくるり



流石といった所だろうか今まででも姉としてきらりと過ごしてきたためかくるりのは落ち着いていて、余裕のある表情をしていた


手馴れてる・・・というような感じだった



「・・・」


まだ出会って、一緒に旅を始めてから少ししか経っていないがシンジのことを少しずつわかってきたくるり



言いたいことは包み隠さず言うシンジの性格を知っているから −まあその性格故に喧嘩や、言い争いが耐えないのだが− 黙り込むということは異論はないということだと理解した。


その後ニコッといつものように笑顔を見せ気持ちを切り替えるようにパンッと手を叩いた



「よし、気分転換に博物館でも見に行こうか


あそこには化石から古代ポケモンを復活させるマシンがあって、古代ポケモンもいるんだよ。古代ポケモンを見る機会なんてそうそうないことだし、一緒行こう?」



「・・・行く」



シンジがそうこたえると「よしきた!」とくるりはシンジの服の裾を掴んで歩き始めた



少ししてから2人が話をしていた場所…の後ろの茂みがカサカサッもと揺れ、ヒソヒソと声が聞こえてきた




茂みから出てきたのは2人の様子を見に来たタケシ、ヒカリ、きらりの3人だ



「心配で後をつけてみたけど心配要らなかったみたいだな」



「ええ、むしろさっきより仲良くなってるように見えるわ」



「お姉ちゃんもなんか楽しそうだし・・・今回は許してあげようじゃないの」



「それにしても・・・やっぱりさっきのシンジ絶対サトシにヤキモチやいてんだと思わない!?」



ヒカリは心配で見に来た・・・というより、さっきのシンジの行動が引っかかったから野次馬しにきた・・・といった様子だ


「そうだな・・・シンジの方は気があるっぽいけど・・・くるりはどうかなぁ」


「その気じゃなかったらあんなことしないわよ、きっと二人とも両片思いなんだわ〜ッ!!」



女の子は恋バナが大好きな生き物、ヒカリも例外ではなく2人の恋愛事情についてアレコレ考えているうちに、テンションが上がったようで1人で盛り上がっている



「ヒカリそういう話好きそうだなぁ」



そして口も軽そうだ、とタケシが苦笑いする



「ええ、女の子はこういうの大好きだもん

でもきらりはなんか冷めてるのね、やっぱりくるりの事が心配なの?」


「うん・・・っていうかアイツなんかにお姉ちゃんを渡すことになると思うと・・・


あーっ、考えただけで虫酸が走る!!」



「きらりらしい理由だな」


「そろそろ、サトシのところに戻りましょうか」



ヒカリの一言で2人も"そうだな(ね)"とサトシの元へと歩き始めた





***




「お、3人とも何してたんだ?


なんか楽しそうだな」




3人が戻って来たのを見たサトシが尋ねるが3人は顔を見合わせ笑い




「サトシ(くん)には早い話」と息を揃えて言った
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