Shine
□第7章
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シロナと共にサトシたちも一緒にポケモンセンターについて行くことになった
「おい、いつまでそうしているつもりだ」
「はい?」
「・・・手」
「・・・、うわっあっごごっごめんごめん!!つい、というか気づかなくて・・・じゃなくてっ、忘れてて・・・ってこれもおかしいか、うーんとなんていえばいいのかな・・・」
ずっと握りっぱなしだった手をシンジに指摘されそういえば、と思い出すと慌てだすくるり
何を焦る事があるんだ、とシンジに怪訝な顔をされ、シュンとしてしまった
その様子を見ていたシロナが
「ふふふ、くるりさんとシンジくんは仲良しなのね」
と笑う
「えっ、いえそのっ・・・仲良しって程でも・・・」
「そんなことまったくありません」
キッパリと言いきったのは照れてモジモジしていたくるりでも否定の言葉を並べかけていたシンジでもなくきらりだった
「ちょっと、なんできらりが答えるのよ・・・!」
「だってそうじゃない、アイツはお姉ちゃんのことなーんとも思ってないようだしねぇ
それを仲良しなんて・・・言わないでしょ?」
「そ、それ・・・は」
きらりの容赦ない言葉がくるりの心にグサリと突き刺さった
そうだよね、シンジくんは私のこと何とも思ってないんだ・・・だからこの前みたいなことも、平気でできるんだよね、いつも私に怒ってるみたいだし・・・当然だよね
自分にそう、言い聞かせているのは自分なのに、なのに、考える度に胸が締め付けられるような嫌な感覚に襲われる
どうして、どうして、私だってそれくらいわかってる・・・なのになんで、こんなに胸が・・・苦しいんだろう、どうしてこんなに悲しいんだろう
くるりが傷ついた表情になっていることに気づくことなくきらりは続ける
「大体、こんなヤな奴とお姉ちゃんじゃ釣り合ってないし・・・」
「きらり、それ以上は・・・」
くるりの事を心配して、ヒカリがくるりの方をチラチラ見ながらさりげなくきらりを止めに行く
「あら、きらりさんはお姉さん思いのいい妹さんね
でも、お姉さんを思うあまりちょっと、言い過ぎちゃうみたいね」
とシロナがフォローを入れてくれたおかげでその場はなんとか丸く収まったがくるりの胸の苦しみは消えないままだったし、シンジはずっと不機嫌そうな顔のままだった。
*****
「それがたった今、急患のポケモンが搬送されてきて、すぐにオペをしなきゃならないんです本当に、すみません」
申し訳なさそうに頭を下げるジョーイさんの後ろでラッキーたちが休むひまもないといった様子で入れ替わりにやってくる
ジョーイさんもすぐに掛けていってしまった
「それじゃあ仕方が無いか、手当は私がやるわ」
「えっ・・・」
「シロナさんが・・・?」
シロナの言葉に唖然とする一同、たしかにチャンピオンが自らの手でポケモンの手当をするなんて、驚くのも無理はない
「はーいはいはーい、でしたら自分がお手伝いしまーす」
タケシがシロナにいつものように声をかけに行っているのだと思ったらしく、モンスターボールからいつものようにグレッグルが出てくる
「あのグレッグル・・・勝手にでてくるの?」
驚いてくるりが隣にいたヒカリにきく
「うん、ああやってタケシが綺麗なお姉さんに声をかけに行って、迷惑になりそうな時はいつもグレッグルが出てきて毒づきでとめるのよ」
「ええ、それで無事なタケシくんって・・・タフすぎ・・・」
ヒカリの言う通り、タケシの後ろで毒づきの構えをするグレッグル
しかし、シロナがグレッグルにほほ笑みかけるとグレッグルはドキッとした顔になってすぐに大人しくなった
「流石シロナさん・・・」ときらりが感心の声をあげた
「あ、あのぅ私もお手伝いしてもいいですか」
おずおずとくるりが手を挙げ尋ねと"助かるわ"とシロナが微笑んだ
***
「ここも熱を持っているわね」
と、かわらわりが当たっていない部分にも手を当ててきずぐすりを吹きかけるシロナに
「でも、かわらわりは頭に命中したんですよね」と不思議そうな顔をして聞くサトシ
「あの技の衝撃はね全身に広がってしまうものなの、だから当たったところだけじゃなく体中を見てあげないと」
そういって、ドダイトスの体中をくまなく探すシロナ
「さっすがチャンピオン、なんでも知っているんですね」
ヒカリが感心の声を上げる
その隣でくるりはずっと浮かない顔をしていた
「さあ、次は貴方の番よヒコザル
お薬を飲んで」
ドダイトスの治療を終え、次はヒコザルの番だ
ヒコザルは、シロナの差し出す薬と水を素直に飲む
「上手に飲めたわね、偉いわヒコザル
さあ、少しおやすみなさい」
褒められて嬉しそうにした後シロナに背中を撫でられ心地よさそうに眠るヒコザル。お尻の声がスゥっと消え、サトシたちが驚いている
「この炎は、眠ると消えちゃうものなの」
とくるりが笑うと「へぇ〜」とヒカリたちが声を上げた、ヒコザルの眠る姿を見るのは初めてらしい