-short story-
□銀河鉄道の夜
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「…れっ…なちゃ…!!……れなちゃんっ!!!!」
目を醒ますと、
私はベッドの上にいた。
そして私の周りで
じゅりなや、みずきや…、SKEのメンバーが一斉に喜んでいた。
「…皆…どうしたの??」
「…どうしたもこうしたもないよっ!!……玲奈ちゃん……無事で良かった…!!」
珠理奈が涙を溢しながら私の手を握る。
そして、私は状況を理解した。
ここは、病室で、私は恐らくあのタクシーで…事故に遭っていたのだ。
「……ゲキカラさん……」
ぽつり、と呟いた。
その人は、今ではもう遠い遠い銀河の彼方へ行ってしまったのだろうか。
探し人を見つけ、ほんとうの幸いを見つけられたのだろうか。
(…玲奈…人が人を好きになるって…どういうコト??)
ぽたっ。
「…どうしたの玲奈ちゃん!?…どっか辛いの!?」
「……ちがっ……違うの……!!」
サウザンクロス行き銀河鉄道。
その旅の中で、私は私から引き裂かれてしまった。
あの無邪気な笑顔が、
唇に残された僅かな温もりが、
少しずつ失われていく彼女の輪郭に一握の寂しさを添えた。
「…珠理奈……お願いが…あるの…!!……私を………抱き締めて……」
「……玲奈ちゃん………」
珠理奈が、そっと私の背中に手を回してくれた。
私は静かに、決別の勇気を珠理奈から受け取った。
今ごろ、ゲキカラさんはきっとあの列車の中で星廻りの口笛を吹きながら、大切な人の影を探しているのだろう。
私はもう少し、こっちの世界でほんとうの幸いを探していよう。
私は、瞳を閉じて、珠理奈の背中にぎゅっと手を回した。
(ハロー、今、君に素晴らしい世界が見えますか??)
-END-