ダイヤのA短編
□桃色ジェントルマン
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「んっ…かった、」
私は今、硬く封じられた水道と対峙していた。
「あれ、***先輩」
「あ、春っち!」
「どうかしたんですか?」
「あのね、手を洗いたいんだけど蛇口が硬くて」
「あーなるほど」
いいところに登場した春っちくん。
このめちゃくちゃ硬い蛇口を開けてもらいたい。
え、でもちょっとまって…
私でも硬くてあかなかったのに、このかわいいかわいい春っちくんに、開けることができるのだろうか?
開かない…ってなって、ちょっと気まずくなるのではないだろうか。
「ごめん春っち、私あけれるかも。むしろあけたい!だから…部活に戻って!」
「?大丈夫ですよ、今休憩中なんで。水道、僕があけますね」
「いや、大丈夫!ほんと大丈…」
「よっと、」
キュッ
ジャーーー……
「どうぞ、***先輩。」
「……」
「あまり無理しないで下さいね」
そういって春っちは颯爽とグラウンドの方へとかけて行った。
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(倉持ーー!)
(うっわ、何だよ!)
(どうしようどうしようどうしよう!)
(落ち着けって、どした?)
(春っちはかわいい男の子なんかじゃなくて、女でもなくて立派な漢ですごい力強くてなんかなんか胸がグってして……!)
(落ち着けよ!)