テニプリ

□コロコロ
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「我が氷帝学園テニス部にも新しい風を吹き入れるために、今日はこんなものを持って来ましたー!」




嬉しそうに後ろから何かを取り出したテニス部マネージャー※ ※ ※。その手の中には一般的に広く使われている、超庶民的、あのお手軽便利グッズがあった。





「「「…………」」」


「……な、何さ!その憐れみに似た冷ややかな目は!」


「…っわぁ!僕久しぶりに見ました!」


「……おい長太郎、やめとけ。逆に※ ※ ※が可哀想だ」


「お前のその一言で余計心がえぐれたわ」



※ ※ ※が取り出したのは紛れもなく、小さなゴミ、埃、髪の毛等を手軽に処理することができる、あの、世に言うコロコロだ。




「急にスタメン集めて、何や思うたらそんなことか。付き合ってられへんわ、ホンマあほやろ、あほ※ ※ ※帰れ」


「シャァアァラァアァァアップ!糞だて眼鏡ぇえ!なんか今日冷たいぞ!お前こそ帰れ、土へ!!」


「で、なんで急にコロコロなんですか、早く説明してください」


「え、なんでわかちゃんそんなに急いでんの?早くこんなどうでもいい会終わらせて練習に行きたいと?」


「よくわかってるじゃないですか。あとそのわかちゃんってのやめてください、キモチ悪いです」


「ぐさっ!」


「ところで※ ※ ※、それは一体なんなんだ?あーん?」


「え、…あー…まぁ、跡部は知らないよね。金持ちのボンボンの坊っちゃんは、家のカーペットに散らばった無数の髪の毛への嫌悪感とか知らないよね」


「なんだお前ケンカ売ってんのか」


「滅相もない!嫌みを言っただけでござんす!!」


「十分だろ。いーから早く説明しろ。つかなんでそんなもんのために急に俺達を集めた。まず動機を言え。」


動機ってお前、取り調べですかこれは。私そんな悪いことした覚えないんだけどね!
て、ああ!愛しの日吉がイラつきすぎて腕組んで白目剥いてる早くしてあげなきゃ!!



「皆を呼んだ理由……それは、この氷帝テニス部部室に散らばった無数の髪の毛」


「………」


「ほらっここにも!この長くて茶色い毛……これお前のだろうが宍戸ぉおおお!」


「っ痛てぇよ!顔に擦りつけてくんな!つーか俺じゃねぇだろ、いつの話ししてんだ」


「確かにどちらかというと※ ※ ※の毛の確率のが高いんとちゃうか」


「うっさい、あんたのロン毛の可能性もあるんだからね」


「俺はロン毛ちゃう、ミディアムや」


「肉か」


「…(イラッ)呆れてものも言えんわ。ホンマ※ ※ ※は腐ったみかん以下のみかんやな」


「黙れロリコン」


「っなんでロリコンやねん、せめて変態にしてくれや。足フェチのな」


「うん、わかったから少しは自嘲しろ」



なんか今日はやけに侑司冷たい。
冬場に座る教室のイス並みに冷たい。



「だって綺麗にしたいじゃんんん。それに便利なのは便利なんだよ!?…だだだから、跡部あんま険しい顔で睨まないで」


「…どうやって使うんだ?」


「あ、ええと、これはね!…この部室にある、一年生達が掃除しきれなかった、どんなに優れた掃除機でも吸い込むことのできなかった、歯の立たなかった細かい細かいゴミ達を処理することができる、非常に優れた、……コロコロなんだよ!…そうだよ、スゴいんだよ!こいつって、実は凄いスゴいんだよ!そーでしょ?やっぱスゴいんだよ、最強だよ!!」


「何コロコロごときに鼻息荒くしてんですか。スゴいスゴいってバカの一つ覚えみたいに……バカ丸出しですね。必死になってるところがなおイタイです」


「てめっ、ひよしぃぃいぃい!こっちがあまり言葉にしにくいコイツのいいところを引き出しまくってんのになんだその言いぐさわあ!」


「ぐぇっ…ちょっ、苦しっ、」


「去らば猫駆除っ、戦場で死せえぇぇえ!」




1人VSスタメンという、圧倒的フリなこの状況で、懸命にコロコロのプレゼンをした私の度胸をもうちょっとかって頂きたい!

「アイドンノォオ」と、またよく意味のわからない英語を叫びながら力加減はして(心は本気)日吉の首をしめていると、視界の端に、跡部がうつった…

興味津々の瞳をした跡部が。




「え、何跡部。もしや興味でた!?」


「…ッチ、庶民の間でそんなにスゴいもんがまかり通ってるとわな…。とりあえず使って見せてみろ」


「…うん!」



興味を持ったことが恥ずかしいのか、チョット照れながら使って見せろという跡部は凄まじくかわいい。言わないけど。



「じゃ、見ててね〜」



コロコロコロ………



「って、ぶふっ!ちょ、おまっ…ッやめ!……やめろおぉぉぉお!!!」


「ええ!?何急に奇声あげて、宍戸どうしたの!?」


「どうしたもこうしたもねえよ!何人の顔の上コロコロしてんだよ!ありえねぇだろ!!!」


「あ、ありえなくないよ!跡部ちゃんと見ててね!こうやって汚いところを重点的に…」



「ちょっ…ばかやっろ…ベタベタすんだろっ……ぶっ!痛っ、痛っっ!」


「宍戸さん、頑張ってください!!」


「ね、跡部。キレイになったでしょ?」


「ほぅ…。確かに心なしかちょっとキレイになった気が…」



「なってねぇだろ!!つかなるわけないだろーが、確かに眉毛はちょっと抜けたけどな!!!」


「コツとかあんのか?」


「コツ?コツはやっぱり、汚いところを重点的にコロコロコロコロすることかな」


「※ ※ ※さんは心をコロコロした方がいいですね」







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