わんぴーす

□アネモネ 一話
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「※ ※ ※!あっちだ、行くぞー!」

「おおー!」

「あんた達迷子になるんじゃないわよー!」



恒例となったナミの注意を背中に受け、恒例のように島に着くなり走り出す私とルフィ。
どこへ行くにも自然と一緒にいることが多くなった。気がつけば、そばにいることが増えた。



「はー、疲れた」

「ちょっと休むか!」



はしゃぎ疲れた私たちは、木陰を見つけて芝生の上に座り込んだ。

私はルフィが大好き。
それが恋愛でなのかどうなのか、と聞かれたら、わからない。



「なぁー!」

「なにー!」



なんのテンションなのか、沈黙が訪れたかと思ったら急に大声で言ったルフィに私も同じようにこたえる。



「あのよ、」

「うん」

「……なんか真面目な話あるか?」

「ない!」



たっぷりと間をとって言うルフィに、私はかぶせるように即答した。

ルフィは私と二人きりになると最近よく真面目モードになる。……ルフィのくせに。
私はそれがどうも苦手で、どうして苦手なのかというのも、言葉で綺麗に説明することができない。

けど多分それは、ルフィが話そうとしている内容が、私が話したくないことだから。



「俺はある!」

「ほんと?じゃあ、まじめな話なら船で聞くね。皆も待ってるし、船に戻ろう」



悪いなぁ、なんて思いながらなるべく明るく言い放つ。だって恐らくルフィがしようとしている話の内容を聞く準備ができていないのだ、心の。



「なぁ、何でいつも話そらすんだよ」

「…そらしてないけど?」

「※ ※ ※にとって俺って何だ」



ど直球。
ルフィが話そうとしていることというのは、私たちの関係の話。

ルフィの想いには、薄々気づいていた。
けど私はその想いに気づかないふりをして、いつも逃げている。



「何それ、言わずもがな仲間でしょ」

「…俺はそういうのが聞きたいんじゃねぇ」

「じゃあどういうのが聞きたいのさ?」


私はできるだけ明るい声で、ルフィの真意をかわしながら返答する。

空気にのまれないように。



「※ ※ ※、こっちむけ」



いつの間にかルフィから目を離し、地面を見つめていた私の頬にルフィの右手が触れ、強制的に顔を上げさされた。



「っ、」

「……お前、俺が怖いか?」

「… 」



怖く、ない。そう頭では叫んでいるのに、言葉が出てこない。
少しずつ切なく歪んでいくルフィの顔が、私の胸の奥を刺激する。苦しい、痛い、なんだこれ。そんな顔しないでよ……

言葉が出てこなくて、真っ直ぐな瞳から目を離せないでいると、ルフィはパッと手を離し笑顔になった。



「…しし、ごめんな!」



何もなかったかのように明るく言うと、さっきまで私のほほに触れていた右手とあいた左手を頭の後ろに組み、勢いよく立ち上がった。



「そろそろ帰るか!」

「ルフィっ、」



………最悪だ。
ルフィの優しさに、甘えた。
ルフィを、傷つけた。

以前までは普通に、仲間であり気のおけない友達のような感じで、一緒にいてただただ楽しかった。

なのに、いつから。

ルフィはいつも通りに、明るく、何事もなかったかのようで、私はいつもそれに救われるばかりで何も前に進まない。

前に進みたくないと思っている自分がいるからいけないんだ。
この関係を壊したくないのだ。

私は、恋愛ってものが怖いのかもしれない。









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