わんぴーす
□maybe
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「明日、ここを出る」
わかってた。ずっとずっと、わかってた。
サボがいなくなって、エースも行っちゃって、次は、ルフィの番。
「そっか。…元気でね!」
「おう!」
この日が来ることは頭ではわかっていたし、覚悟もしていた。
それでも、次に会うのはいつになるのかわからない。
一度海に出れば、何があるかわからない。100%無事なんて言い切れないのだ。
ルフィが旅立つと私に言ったのは昨日のこと。
突然すぎでしょ。本当にルフィらしい。
怒りという感情が欠如している私は、案の定こんな時でも苛立ちを覚えることは全くなかった。そんな自分に、心底がっかりした。
心の底から叫ぶことができたらどんなにいいだろう。
嫌だなんて言えない。行かないでなんて言えない。
だから、こう言おうって決めてた。
「また会おうね」
「あったりめーだ!次ここに戻って来るとき、俺は海賊王だ!」
「ははっ、頼もしい!」
大好きな人の門出。
泣いちゃだめ、強くそう言い聞かせて涙を我慢する。
「※ ※ ※、」
眉間にシワを寄せて口を頑なに閉じるあなたは、何か言いたげな様子がわかりやすすぎて少し笑える。
「待ってるね」
「!」
「ルフィのこと、ここで待ってる」
「…絶対帰ってくっから!!」
期限無しの、約束。
本当に酷い男。
彼の輝く笑顔を、もう当分近くで見れなくなっちゃう。
遠くに行っちゃうのに、また会えるかもわからないのに、私はこの人を永遠に待ち続けるだろう。
泣き虫な私にしては我慢したほうかな。
ルフィが船を出すとき、結局溢れる涙が止まらなかった。ま、それも私らしくていいかな。
涙でぐしゃぐしゃな顔でも、笑って、精一杯手を振る。
「いってらっしゃい!」
君とまた会える、いつの日かそれまで、変わらずいたい。
今日を忘れない。
あなたを忘れない。