ダイヤのＡ短編
□そうだん
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「あの人はわたしのことなんて好きじゃない」
「んなことねーって」
「倉持知ってる？人の気持ちって、目を見ればわかるの」
俺に色恋の相談するなんてセンスがなさすぎると思う。適任じゃないにも程がある、にも関わらず、動かす口を止めない※※※。
「全然さ、休みの日に会えたりしなかったのにさ」
「おう」
「この前やっと会えたと思ったらずっと携帯いじってんの。なにやってんのかなーってのぞいたらさ、」
「……おう」
「なめこ栽培してんの！意味わかんなくない！？」
「………」
確かにそれは意味がわからない、と、恋愛弱者の俺でさえ思う。※※※が怒るのにも頷ける。
「まぁ気になったんじゃね、なめこが」
「彼女が横にいるのに？私は、なめこに負けたの？」
「……」
何も言えねぇ。俺もあいつから相談受けたりしてるわけでもないし、そもそもあいつの考えてることなんて今まで分かったこともないし分かりたくもない。
というかこの二人の恋愛事情とか、割と心底どうでもいい。
「とりあえず言えることは、御幸はお前のことすげぇ好きだってこと」
「……なんで！」
「あいつ見てればわかるって」
「ぬぬぬ」
そんな煮え切らない顔をされても、御幸が※※※を好きなのは本当だ。
だって教室でもチラ見どころじゃなく、ガン見してるし。たまに見える携帯の待ち受けは※※※だし。
昨日だって、練習をフェンスにかじりついて鬼の形相で見てる※※※をカワイイカワイイとうるさい同級生たちに「俺のだから」と笑顔でいっていた。
「いっそ好きじゃなくなりたい」
「何を？」
「っぬわぁ！！」
「…いたのかよ」
突然後ろに現れた御幸に、声にはでなかったが驚いた。※※※は猛烈に驚いている。
今の聞かれたか？聞かれたならいっそラッキーだ。第三者から見たらただのすれ違いであるこの問題を、早く二人で解決してくれ。
「なぁ＊＊＊、なにを？」
「…なんでもいいでしょ」
「なに、ひょっとして俺のこと？」
「……なんでもいいでしょ！」
「なんでなんで、なんで俺を嫌いになんの」
ぐいぐいと聞く御幸に、※※※は返す言葉が見つからないのか目が泳ぎまくっている。
「……じゃあ一応聞くけどさ、私たちって付き合ってるの？」
「え、当たり前じゃん」
「！」
「だって俺、＊＊＊のこと大好きだし」
「！！」
別れる理由がないじゃん、なんて当たり前のような顔で言う御幸に対して、ま、まぁね…なんていう※※※はまんざらでもなさそうだ。
しかし「じゃあなめこと私どっちが好きなの！」という質問に対して「お前だよ」と答えるまでに一瞬考える顔をした御幸を俺は見逃さなかった。