城下町

ここは《市民》に所属してる方が生活している場所です。

《市民》の家や民宿や料亭、商店があり年中毎日賑わいを見せている。

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01/30(Sat) 14:52
リュカ・オリオール

『親愛なる我が教え子、レディ・アリス・バーズリー へ

【00】
 回りくどい上に、一方的な方法を採ることを赦して欲しい。アッシュの耳に入れても居心地の悪くなる話だろうし、現状を思えばあいつには伏せておかざるを得ないんだ。加えて、手元に文書をそのまま残してもろくな事にならんだろうから、こんな形で伝える。

【01】
 回りくどい序に、寄り道から始めよう。
 巷が殺伐としているのは今更の話で、だからこそ、うちの『庭』みたいな施設が在る訳だが、『庭』を作り上げた当の本人は生前、こう言った。

 ――『庭』は、今の世への復讐の装置なのだと。

 身寄りの無い子供を全て引き取れる訳ではない。だが、百人なら百人、全て真っ当に育てて世に出し、その子たちが真っ当に生きて、更に親となり、子を真っ当に育てたならば。その流れを何十年、何百年と続けたならば。時世もいずれ、少しはましになるのではないか、と。上からの、国家の力によるものではない、市民自身の下からの力でいつの日か、世を変えられるのではないか、と。

 石畳の下に静かに根を張る小花のような、気の長すぎる復讐劇だ。半世紀近く続けたそれを俺に引き渡すと決めたとき、更に何と言ったと思う?
 
 何百年でも、何千年でも、生ある限り、拾い、育み、送り続けろ、と。

 此方の寿命を見越して、そう言ったんだ。

【02】
 マーガレットの言った復讐は、誰の犠牲も求めないという意味で、この上なく正しく理想的なのだろう。俺としても当然、『庭』と子供達を放り出す気は無い。
 ただね、レディ・アリス。何かが引っ掛からないか?俺が何処に引っ掛かったか、分かるかい?
 確かに、この方法を地道に実践し続けるなら、いつの日か少しくらいは世の中も真っ当になるのかもしれない。

 だが………“いつの日か”って、いつなんだ?
 
 目の前に地獄があると分かっていて、只管に教え子たちを送り出せと?
 そう、この方法“だけでは”今を生きる者が礎と云う名の犠牲になるんだ。それが、俺には酷く耐え難く思えた。

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01/30(Sat) 14:52
リュカ・オリオール

【03】
 此処で、話をアッシュ・ヴァレンティの件に移そう。
 あいつ、笑ってたな。けれど、あの暴漢の傷はノンビリ平和に暮らしてる奴が付けられるものじゃなかった。一体、どんな平和なんだかって話だ。

 騎士団を脱退したのが2年前。あれだけ理不尽に耐えたアッシュを、俺達に顔も見せられないほど後戻りの出来ない処へ駆り立てたのは何だろうか?
 其の点については、本人に口を割らせる気も無い。本人が何年も抱えたまま、言えずにいることをどうして尋ねられる。

 ただ、二つ、推測が付いたことがある。
 まず、あいつの箍(タガ)を外したもの、それを生み出した構造そのものがなくならない限り、あいつは止まれないだろうこと。
 そして何より、その癖、お前の危機に手を出さずにいられなかった程度には、俺の教え子で、お前の親友の、アッシュ・ヴァレンティのままだということ。これは最初の推測の補強にも繋がっている。アッシュがアッシュのままだという確信がついたからこそ、何があいつにそうさせたのか想像がついてしまう。俺は此れでもあいつの師匠らしいから。

 馬鹿だよなー…馬鹿なんだよ。何にも変わっちゃいない。会いに来なかったのだって、来るに来れなかっただけでなく、俺達に不測の損害を与えない為でもあったろう。[だから、待ち合わせ場所を選ぶにあたっては、あいつにとっての安全よりも、俺とお前にとっての諸々の安全を優先している。此処は交通の便が良い上、会議場としても使われているから出入りの理由には事欠かない。]

 で、あの馬鹿は、此方には手を出してくる癖に、きっと自分の問題に関しては全力で煙に巻いて来るんだ。
 そんな馬鹿に対抗するにはどうするか?簡単だ。あの馬鹿が、今、何処で、何をしているかなんて関係ない。
―――俺達はただ、馬鹿の、遥か上を行く大馬鹿になってしまえば良い。


【04】
 レディ・アリス。俺は、着地点から逆算して物を考えろと言った。大局を見ろとも言った。それを実践して見せようじゃないか。

 まず、大馬鹿になる。だから着地点設定に当たっては、妥協と打算を一切合財捨て去る。欲張りに行くぞ?
 女性が殴られるのを見て鬱憤を晴らそうとするような連中も、いつか心の底から笑えると良い。教え子たちが皆、胸を張って生きていけると良い。馬鹿弟子二人が、本当にノンビリ平和に過ごせれば良い。この国から、理不尽な不幸が無くなれば良い。いつの日か、ではなく、一日も早く、皆に間に合うように。

 然るに、国家体制は惰弱にして圧政と腐敗を許し、冒険者組合はその使いに成り下がり他への十分な抑制力を持たず、これらを倒そうとする反乱軍は一枚岩でなく求心力にも欠け、破壊と暴走を繰り返す。学園都市の自治の影の下では実験体が踏み躙られ、市民はいつ己が犠牲になるかと怯えて暮らす。
 其れらがある種最悪の形で結実したのが、この間の諍いだろう。終わってみれば、まともな連携が少しでもあれば防げた被害ばかり。中でも、騎士を装った反乱軍だか、反乱軍を装った騎士だかが市民を襲った件は、『庭』が同じやり口で標的になりかねないという意味でも無視出来ない。

 ……現状を見るに、着地点までの距離は恐ろしく遠いな。だが、手を付けるからには其処を目指さなければ全て欺瞞に終わるんだろう。『アッシュをどうにかしてやる』とか、『庭を守る』とか、そんなレベルで事に当たって解決に至れるほど、この国の現実は甘くない。

 …だから、俺はこの国を変えようと思う。

 今、怖い顔してないか、レディ・アリス?反乱軍に入るとか、肩入れするとか、そんな意味じゃない。…ほら、「まともな連携が少しでもあれば」って、書いたろ?
 どうしようもない世の中だが、それでもまともな人間は、居ると思って信じて探せばいくらでも居るものなんだよ。国家にも、ギルドにも、自称レジスタンスの中にも、学園にも、市民の中にも、居るだろう。国家の、あの掃き溜めのような騎士団の中で膝を折らずに頑張っているお前のように。

 俺は、そんな人と人を糸で繋ぐ一本の針になろう。

 ひとりひとりにはどうしようもなくても、それぞれの場所でまともにやってる人間を繋いでいけば、案外色んなことが出来るかもしれないだろう?
 大丈夫、問題を国のレベルで考えているからには、俺だって一人で背負い込む気はないから。もしも俺の考えていることがアッシュの望みに通じるなら、きっとまた、あいつとも一緒に肩を並べられる日もやって来る。

【05】
 いつあいつが来るとも知れないこのタイミングで、こんな話を、よりにもよってこんな伝え方をして済まない。
 だが、今日のお前とあいつを見て、もう立ち止まっては居られないと、そう思った。大馬鹿だろう?漠然と考えていたことではあるが、動くと決めたのはついさっきなんだ。

 この手紙はね、レディ・アリス。お前を置いていかない証だよ。俺は戦うが、お前を置いていったりはしないから。その証に、始めに、お前の手を取ろう。

 きっと、心の整理が要る。受け止めるのも、答えを出すのも、後日ゆっくりとで構わない。何なら、反逆罪で俺を拘束したって構わん。お前が正しいと思って行うことなら、俺は喜んで受け入れよう。ただ、…お前の立場で、アッシュをどうにかしてやりたいという意思を示してきたからには、お前も、その『正しさ』をもっと上手く使いたいんだろうと思っている。
 念のためだが、バーズリーの兄君らの心配は無用だと伝えておこう。アッシュのことを問うても応えないあいつらが、お前とあいつの共通の師である俺とこうやって会うことを許している時点で、俺に何を期待しているかは推して図れという話。それでも、少しばかり予想を上回っている自信はないでもないが。

 差当たり、あいつが来るまでの気持ちの切り替えに、ピアノでも弾こうか?『月光』なら、演奏時間は全3楽章を通して15分ほど。丁度良いかもしれない。『月光』といわず、好きな曲があれば何なりと。大抵の所はどうにかなるだろう。
 その後は、のんびり世間話でもしよう。立つ瀬がなくなるから、恋愛話は苦手なんだが、今日はそんな話にも付き合おう。だけど、独身のオッサンをあんまり苛めてくれるなよ?

 10分で随分な量を読ませた。お前なら余裕だろうと信じている。勝手ばかりだが此処までとしよう。


不出来の師 リュカ・キリアクス・オリオール・イースデイルより、祈りを込めて。』

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01/30(Sat) 14:54
リュカ・オリオール

(手紙を渡し終えてしまうと、差出人は受取人が座すソファの隣席に腰掛けた。緩く足を組むとウェストコートのポケットから懐中時計を取り出し、針が時を刻むのを伏目がちに追う。髪と同じ色の睫毛が眼下に小さな影を作った。

 論文用紙の一面を埋めるのは、魔力で形成された大量の文字群。書物や印刷物に見られる印字と寸分違わぬそれは、予告どおり、10分の時の経れば、宙に溶けるが如く消え失せて。
 後は用紙の末尾に一行の手蹟が残るのみ。走り書きながら均整を失わない柔らかな筆致は、教え子たる彼女にとっては慣れ親しんだものだろう。

 差出人が『お守り』と呼んだその言葉は、一言のみ、こう告げる。


『一緒に頑張ろう』、と。)

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01/30(Sat) 15:44
※注釈※
リュカ・オリオール











【PL】
大変お待たせいたしましたが、生きております、元気に爆弾を投下しておきます(…)









…_(:3 」∠)_


白字で投稿した部分は、ドラッグすれば読んでいただけます。
特に意味も無く対PL様用の視覚上の演出のようなものですので、アリスさんPL様の東雲様だけでなく、夜兎様やログを追っておられる方(いらっしゃれば!)も御覧になってくださって問題ありません。

が、内容は勿論アリスさん以外は現状PL情報でお願いしたいです。
読み飛ばしてもPCレベルでは全然問題が無いということさ…!

逆に言えばアリスさんPL様の東雲様にはお待たせした上に大型爆弾投下で大変ご迷惑をお掛けいたします(五体投地)

以前管理人様が仰っていた、各勢力間での協力を、そっと下地だけでも作れないかなという試みです。

管理人様にも、拍手経由でご連絡をしておりますが、当面は大それた動きを取るでもなく、ただ、いろんな人と縁を結んでいくだけになるのではないかなーと思います。

無論、立ち消えになったら立ち消えになったでいいのよぐらいの気軽な構えなので、東雲様にはアリスさんの御心の赴くまま、自由に料理して頂ければと!

注釈まで長文にて失礼致しました、…次のターンでは字数減らす…オレサマチョウブンマルカジリ…!

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01/30(Sat) 18:32
アリス・バーズリー

(手渡された手紙。手書きではなく活字で表示された文字を先ずは軽く一通り読み終える。その顔は只管この活字を読み込むことに集中した無表情で目の動きだけが忙しないもの。二巡目。今度は一言一言噛みしめるように読む。三巡目。その時にはこみ上げるもので目が潤んでしまい見辛くて仕方ない。三巡目の終わりに近い時に文字が消え始めていく。それでもこの恩師の想いを掴み取りたくて読もうとする。三巡目は最後まで読みきることは出来ず文字は雲散霧消してしまう。最後に残るは恩師の見慣れた手書きのメッセージ。

涙が止まらない。涙をこらえようといつもならするのだがそんな気にもならない。いつの間にか恩師が隣に座っていることに今になって気付くと手紙をくしゃくしゃにしない様柔らかく抱きしめながら恩師の肩に顔を埋め)

……マジ、馬鹿ですよねー…リュカ様。…っ、ぐすっ…ま、私も……大馬鹿です…。
………付き合いますよ。私、大馬鹿…ですから。

………きらきら星変奏曲。…ママが生きていた頃、私が泣いていると良く弾いてくれたんです。

(恐らく普通ならよく吟味した上で答えを出すのだろうが。自身は幼き日に『人々の笑顔を守る騎士になるんだ』と既に決めている。子供じみていると笑われるかもしれない決意。しかし、自分一人では成し得ないことが可能性が見えたのだ。この恩師によって。何故否定などしようか。恩師の想いが込められた手紙を愛おしげに胸に抱く。

涙声で静かにピアノ曲の希望を述べる。昔、優しい母親が自分を慰めるために弾いてくれた可愛いらしい曲。恩師に慰めて欲しいとねだる様になってしまったが、自身をこうさせたのはこの人だ。それに、もう遠慮などしていられない。これから共に戦う同志として)
ーーーーーーーー
東雲、電車でこのお手紙を読んでいたのですが、めっちゃウルウル来ました。変人の出来上がりです。はい。
リュカ様の想いがとても込められていて感動致しました。
爆弾投下は少々驚きましたが、これにより色々イベントが起きたら美味しいですもぐもぐ。
東雲も長文傾向になりつつあるので気をつけて行きます!

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