短編集

□愛しい人
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「トランクス!!」
久しぶりに逢う愛しい人の名前を呼び駆け寄ると、優しい笑顔で両手を広げてくれる。



その広い腕の中に飛び込めば優しく包み込んでくれて、私の髪に顔を埋める。






「元気でしたか?……逢いたかった…」
そう呟いて顔を上げたトランクスは、
私の顎に手をやり、上を向かせる。






「…私も逢いたかった…」
とトランクスの次の行動を予測して、瞳を閉じる。

私とトランクスの唇か触れそうになった瞬間…。

私の服の裾を引っ張る小さな力。
引っ張られた方を見ると、愛しい人にソックリな小さな小さな男の子。






「おねえちゃん?」
「トランクス君。」

小さな男の子は、私の愛しい人の幼い頃の姿。
抱き上げると、私の首に小さな両手を回し抱き着いて来た。






「おねえちゃん、だ〜いすき!」
そう言って私の頬に可愛いキスをくれる。






「なっ……!?」
大人の方のトランクスは、幼い自分の行動に目を見張る。




「最近、毎日してくれるの!」
嬉しそうに言う私に横目でジトー。と見ながら不貞腐れる大きいトランクス。


「トランクスは、小さい頃からこんな事してたんだぁ?」
と更にからかう私に、ソッポを向いてブツブツ言うトランクスに、何?と覗き込む。





すると、大きな手が伸びて来て小さなトランクスの目を覆うと私の唇に一瞬訪れた暖かな温もり。


顔を真っ赤にする私に大きいトランクスは、鼻と鼻が触れそうな距離で甘く囁く。







「…今も昔も、貴方だけです。」と。





固まって動けない私から小さなトランクスを奪うと、お姉ちゃん好き?僕も好きだよ。と言っている大きなトランクス。



「何、子どもに言ってるの!?」
走りながら抗議する私を振り返りながら、微笑むトランクス。






いつか、また三人でこんな日が過ごせれば、いいなぁ。

今度は小さなトランクスじゃなくて、小さな私達の宝物を抱きながら。
と、密かに同じ事を願う二人だった。




end
 

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