此処は神の神殿。
私は瞑想してるピッコロさんの側で柱に凭れ掛かりながら雑誌を読む。




これが私の最近の過ごし方。
何話す訳でも無いが私の心は穏やかになる。






たまにピッコロさんを見ると五回に一回は目が合って、顔を赤くして直ぐ逸らすピッコロさんに私は笑みが溢れる。






雑誌を読み終えると、私のお腹が騒ぎ出した。
恥ずかしくて俯いた私に瞑想を止めて地に足を着いたピッコロさんが声を掛けてくれた。







「…飯喰ってけ。」
呟く様に言ってさっさと歩き出したピッコロさんの背中を見つめていると、片手を後ろに伸ばして立ち止まったピッコロさん。




不思議に思って首を傾げていると、聞き取れないかもしれない程の小さな声でピッコロさんが呟いた。







「…早くしろ!」
私は笑顔で頷きピッコロさんの隣に並んでその手を握る。

ピッコロさんは、フン。と鼻を鳴らしまた歩き出す。





私に合わせる様に、ゆっくりと。
チラッ。とピッコロさんを見るとさっきよりも赤い顔をしたピッコロさんの横顔。



私はピッコロさんに気付かれない様にまた前を向き付いて行く。


ずっとこのままピッコロさんと並んで歩きたい。
そう思う気持ちとは裏腹に、近付いて来る神殿の建物に私は寂しさを覚えた。



気付かないうちにゆっくりと歩いていた私にピッコロさんは、歩く速度を落とすと握り合っていた手をきつく握り返してくれた。






そして、私を見て微笑んでくれたピッコロさんの顔に私は幸せを感じた。






「行くぞ。」
「はい!」








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