こんな僕等の青い春
□待ちに待った王道学園にやって来たみょーん
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そんな族チームの男達が後に語る『絶望の31日』から早8ヶ月が過ぎた次の年の4月、春休みも終わりに差し掛かるある日──···。
とある高校の入学式を目前にした新入生たちが、次々と門を潜っていた。
「フピャーッ!妄想通りだミョ―ンッ!!」
校門を前にして興奮し発狂寸前の長身眼鏡男が一匹。
『華月学園男子高等学校』
の入学式を前日に控え、
今日は入寮日。
ドキドキ···と胸が高鳴るのは
新しく始まる高校ライフに楽しみすぎて
「ヒョワッ!あっちを見ればイケメンこっちを見れば可愛いチワワちゃんっ!ん〜イイっ!イイみょ王道学園最っ高!!」
ではなく、かなり掛け離れた
不純···いや、腐純からなる鼓動だったらしい。
何のセットもされてない、肩に掛かるほどのサラサラ長髪黒髪、目が隠れるくらいの前髪に黒渕メガネ。身長は標準よりやや高め。デカすぎるリュックを背負ってる以外は一見目立たない(むしろ地味)であろう背格好の彼が何故か注目を浴びている。
眼鏡とリュックが揃った時、
人はオタクを連想するものである。
が、彼が目立っているのは
それだけが理由ではない。
「あちらに見える生物が外部生でしょうか?」
「ぽいねー···てか生物てw」
そこへヲタクを目指して校舎から歩いてくる二人。
外部生ー···そう、このヲタク···
清宮朔哉は外部生と言う名の新入生なのである。
幼稚園から大学までエスカレーター式のこの学園は毎年受験体制を取り、合格すれば他中学校からも受け入れるみたいだ。
だがその試験、かなりの難関問題が連なる故に合格者が出ない年もあるそう。
そう安易に入らせないとばかりにここ5年は合格者数は0、だったみたいだ。
それが今年はどうやら二人も
外部入学者がいるらしい、と
学園中でもっぱらの噂になっている。
その内の一人が朔哉。
1学年8クラスあり、1クラスにつき40人前後から成り立っているマンモス校だとしても幼稚園から12年も一緒にいれば名前は知らなくても大体の顔は分かるものだ。
だからこそ存在すら明かしていなくても、外部生の一人が
朔哉だとゆうことは暗黙の了解だ。
と、目立っている一番の理由はこれなのだが、本人は然程気にしていない様子。
「む、見当たらないみょ···フピャ?もしかしてもしかしなくてもこの声は!」
それどころではない、と言わんばかりに何か探しているのかキョロキョロと眼鏡を光らせていた朔哉が、急に聞こえてきた黄色い声を耳にし更に眼鏡を光らせる。