◆文

□無題
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「...なぁ、俺になんか云うことねぇの?」
「...?」

午後3時、おやつの時間だとゆあはご機嫌に鼻歌を歌いながらクッキーと紅茶を用意していると、ゆあとは対照的に明らかにご機嫌斜めな中也が徐に口を開いた。
眉間にしわを寄せ、こちらを見ようともしない。今日一日、中也は朝からずっとこんな感じなのである。原因が全くわからない。
中也はつい3日前までは任務の為遠方に行っていたし、この3日間特に何もなく喧嘩をしたわけでもない。ちゃんとおかえりも言った。他になにかあっただろうか?

「なぁってば、聞いてんのか」
「あ、ごめんちゃんと聞いてるよ。でも言うことって??」

中也の真意がわからず首を傾げるとはぁ...と溜息をついてなんでもねぇ、とそっぽを向いてしまった。漸く本題っぽいことを言ってくれたのにのままじゃ引き下がれない。

「なんでもなくないでしょ。中也朝からずっと不機嫌だよ。私なにか悪いことした?」
「知らね」

なんだかんだで普段は優しい中也が、こんなに怒ってるってことはよっぽどのことをしたんだろうけど、全く記憶にないし見当もつかない。

「中也のプリン食べてないよ?ちゃんとあるよ?紅茶とクッキーもちゃんと中也の分もあるよ?あ、それとも珈琲の方がよかったりする?」
「いらねぇ」
「...なんか、怒ってる?」
「怒ってねぇ」

うそだ、絶対怒ってる...

相変わらず眉間にしわを寄せたままの中也にどうしていいかわからず、取り敢えず目を見て話そうとゆあはテーブルに身を乗り出して顔を覗き込む。

「ねぇ、ほんとにどうしたの?」
「...」
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