【イケメン戦国】時をかける恋
□【信長・政宗・幸村】とらぶる・とらべる(1話〜5話完結)
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信長様と政宗、そして私の3人は、ただ黙ってお互いを見つめ合っていた。
それも私のアパートの部屋で………。
▶▶▶
時を遡ること、数時間前ーーー。
安土は嵐に巻き込まれていた。
外出していた信長様と政宗、そして私の目の前が、強い雨風の中、突然ぐにゃりと歪み………。
気がつけば、3人で現代へタイムスリップしていた。
幸いながら、豪雨と夕闇に紛れ、何とか私のアパートへ連れてきたものの。
どうしていいのか分からない緊急事態。
とりあえず、現代へタイムスリップしてしまったことを、信長様と政宗に伝えたが。
「ここが 涼莉 の屋敷か……ずいぶんと狭いのだな?」
「すみません。賃貸のアパートでして………。」
「おい、これは何だ?」
「ガス台。ここに火をつけて料理をするの……って、政宗!危ないから触っちゃだめ!!!」
「良いではないか。政宗、夕餉は貴様に任せる。」
「信長様は何でそんなに落ち着いていられるんですか?!」
「面白いではないか。今、五百年先の世にいるのだぞ。」
「食材はどこだ?ん、これは何だ?」
「政宗……夕餉はあとでいいから、落ち着いて座ってて!」
「一番落ち着いてないのは、お前だろ?」
「いいから!!!」
そうして、私たち3人はテーブルを囲んで黙って見つめ合っていた。
▶▶▶
「とにかく、明日になったら服を買ってきます。それから、刀はここに隠して下さい。」
「……なぜ刀を隠さねばならんのだ?」
「刀がなくちゃ楽しくないだろ?」
「あのですね、刀は銃刀法違反と言って………」
ピンポーン
「わ!わ!わ!あ、あのっ!信長様、ここに隠れて下さいっ!政宗は……こっちっ!!!」
信長様をベッドの中に、政宗をベッドの下に押し込んで、慌てて玄関へ駆け寄る。
「は、はいー?」
上ずった声で何とか返事をすると………。
「涼莉さん、いきなり来てごめん。」
「さ、佐助くん?!」
その声を聞いてホッとしながら玄関を開けると、佐助くんともう1人……
現代の服に身を包んだ幸村が立っていたーーー。
▶▶▶
信長様、政宗、幸村、そして現代人の佐助くんと私の5人でテーブルを囲んでいた。
「つまりは、今回のタイムスリップで、俺と幸村だけじゃなく、信長様と政宗さんもタイムスリップしてしまった…ということか。」
「佐助、俺の刀を返せっ!今ここで、信長の首とってやるっ!!!」
「おう、いい度胸じゃねえか、真田幸村。返り討ちにして、お前の首、信玄に叩きつけてやる!」
政宗と幸村の間に火花が散り、一発触発の空気が流れる。
「幸村、気持ちは分かるけど落ち着いて。政宗さんも。今までいた時代とは違って、この時代では刀を振るうことも所持することも許されていない。だから幸村、一時休戦で頼む。」
「仕方ねー……全く面倒な時代だな。それに何だよ、こんな変な着物着せやがって!」
茶色のTシャツに、赤のチェックのシャツを羽織った幸村。
可愛らしい格好に、つい噴き出しそうになるのをこらえる。
今は緊急事態。笑っている場合じゃない。
「涼莉さん、今ならまだユニクロが開いているはずだ。信長様たちの服を調達してくるから待ってて。」
「ありがとう、佐助くん。」
「それから、女性の君には悪いけど、今日からここが本陣だ。ここに全員で寝泊まりさせてもらう。いい?」
「い、いや、ここ狭いし…佐助くんのところはダメなの?」
佐助くんは、私の耳元で
「ごめん。俺の部屋には、戦国武将たちの伝記がたくさんあるんだ。見られたらまずい。」
そう言い残して、服を買いに出かけたーーー。
▶▶▶
2話へ続く