【特捜】特別捜査密着24時
□【野村忠信】重なる吐息
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2人で暮らす家のドアを開ける。
野村さん••••••いや、忠信さんは今日も遅いのだろうか。
私は台所に立って、帰るとも分からぬ忠信さんの分も食事を作り始める。
「これで良しっと」
ガスの火を止めたところで、玄関の鍵がカチャリと開く音が聞こえ、足音がこちらへ向かってくる。
「ただいま。涼子」
「お帰りなさい。ちょうど夕飯作り終えたとこ」
「ん〜、ちょっと読みたいものあるから後にするよ」
忠信さんは、赤ワインとワイングラスを取り出し、ソファーへ行く。
着ていた上着をバサッとソファーにかけると、ワインを片手に何かを熱心に読み出す。
(捜査資料かな?)
邪魔になってはいけないと、私はダイニングで1人夕飯をすませ、忠信さんの夕飯にはラップをかけてテーブルの上に置いておく。
そして、私はそっとリビングを通り過ぎて、寝室でテレビをつける。
テレビに映し出される人気お笑いコンビ『宇治抹茶』。
それを見ながら、私は盛大に笑って1日の疲れを癒やしたのだったーーー。
▶▶▶
「楽しそうだね」
そう言いながら、忠信さんがにこやかに寝室へと入ってくる。
既に宇治抹茶の番組も終わり、テレビでは恋愛物の映画が流れていた。
「この映画、初めて観るけどすごくロマンチックで素敵!」
「じゃあ、僕も一緒に観るかな」
忠信さんは当たり前のように、同じベッドに入って私の腰に腕を回す。
私もそれを当たり前のように受け入れ、寄り添う。
「もう読み物は終わったの?」
「うん」
「捜査資料?」
「企業秘密」
2人で過ごす穏やかな時間。
今は、上司でも部下でもない。ただの婚約者。
ふと、テレビで流れる映画のキスシーン。
忠信さんの唇が、私のそれに重なる。
キスはどんどん深まり、忠信さんの舌が私の唇を割り、彼の熱い吐息にクラクラしながらも、私もそれに応える。
互いの吐息が混ざり合う中、忠信さんはテレビのリモコンを手でまさぐるとオフにした。
そして、手で指で私の身体のラインをなぞると、私の上着の裾から忠信さんの手が入り素肌を撫でる。
「忠信さ、ん••••••夕飯は」
「後で食べるよ」
急くように私の服を脱がしながら、忠信さんの素肌も少しずつ露わになっていく。
「涼子••••••」
互いの胸を合わせ、忠信さんの温もりと鼓動を感じながら、息を乱した忠信さんの優しくも荒々しいキスを受け入れる。
激しく舌を絡め取られ、呼吸もままならない。
「ふぁ、ぁ••••••」
私が声にもならない吐息を漏らすと、忠信さんの唇が首へ鎖骨へと愛撫する。
「んぁっ••••••」
私の身体が敏感になっていく。
忠信さんはまるでそれを見越したかのように、私の太股を撫で、そのまま柔らかな場所を探り当てた。
焦らすかのようなそれに、私から甘い蜜が溢れ出す。
忠信さんが「はぁ••••••」と吐息が漏らすと、そのまま唇を重ねながら、私の奥へと沈んでいく。
「涼子••••••」
目を閉じ、掠れた声で呟くと、忠信さんは私の膝裏を押さえ、甘い蜜を誘い出すかのようにゆっくりと動く。
「••••••んあっ、ん」
全身に走る電流のような刺激に、つい乱れた声が漏れる。
まるでそれが合図かのように、忠信さんは溢れた蜜の奥へと、激しく沈み込んだ。
「ふぁ、あっ••••••」
「••••••くっ」
激しく乱れあう吐息。
その吐息が、荒々しいものに変わったとき、忠信さんの熱が私の中に広がったーーー。
▶▶▶
汗も冷めやまない私の胸元に、忠信さんから真っ赤な花びらが落とされる。
まだ残る互いの熱を確かめるように、私の髪に手を差し入れ、優しく頭を掴みながら。
そして、私の顔を見て言う。
「情けないけど••••••涼子が相手だと、余裕なんか全然ないんだ」
どこか泣きそうな困った顔をした忠信さんを見て思う。
私は世界一、いや宇宙一この人が大好きだと。
そして、この人と愛し合えるひとときが、とてつもなく幸せだとーーー。
▶ 完 ◀