「ねぇねぇ、はるか。これどう思う?似合うかな?」
目の前にいる彼女は、深いグリーンのシャツを一枚手に取り、僕に見せてきた。
「さぁ……似合うんじゃない?」
「ちょっと〜!!ちゃんと答えて!」
「答えてるよ。だから似合うんじゃない?」
「そうかなぁ……ん〜」
彼女は口を尖らせながら、ああでもない、こうでもないと言いながら、ウロウロしている。
「これはどうかな?」
次に彼女が手にしたのは、爽やかなブルーのシャツ。
それを僕の体に合わせるように、胸元に当ててきた。
「あ、いいかも!!これにき〜めたっ♪」
彼女は満足そうにニコッと笑った。
「今日は買い物付き合ってくれてありがとね、はるか。
彼、喜んでくれるといいなぁ〜♪んふふ」
そう言い残すと、彼女は弾むような軽い足取りで、レジに向かった。
どうして僕が先に君と出逢わなかったんだろう
こんなに君のことを想っているのに
僕は無意識に、悔しさから拳を握りしめていた。
2015/12/30
▼拍手用の5題 短文
世界は残酷だから