行方不明の姫
□なんて出会いだ!
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三年前≠ノ起きたことが全てを語っていたのだ。
なぜ俺は気づけなかったのだろう。
かつて最強と謳われた、鳳凰=iほうおう)。
その名を耳にすれば誰もが懸念し怖じ恐れる。
そして誇り高き鳳凰を率いるトップの名は神木怜旺=iかみき れお)。
そう、まさに俺。
何故謳われた=Aと過去形なのかと問われれば簡単な問題だ。
鳳凰の姫、城田由梨=iしろた ゆり)は我儘で繊細なお気楽少女。
善い意味で言うなら、男だらけのむさ苦しい場を和ませ薔薇が舞うように華々しい空気にさせてくれるのだが……。
悪い意味を捉えると、由梨は独占欲からなのか、なかなか俺の部下を離そうとしない。
部下も部下で由梨の色香に負けて仕事を放棄してしまっている。
俺に目的≠ェあるってのに――
コレが鳳凰の栄冠が崩れ去った原因の一つだ。
しかしそれをキツく言えないのも、彼女に甘やかしてるのも俺である。
それは俺が彼女を愛してるからだ。
しかし……運命だと感じないのは何故だろう。
あの時は身に沁みる程感じたのに。
だが、まだ彼女に言われたあの言葉≠ェ脳裏に焼き付いて離れない。