行方不明の姫
□勉強会!?
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七月下旬、ついに明日からお待ちかねの夏休みがやってくる。
「休み休み休み休みィ〜!」
今日もホウオー室≠ナ青翔が叫んでいた。
ホウオー室とは、この空き教室のことだ。
空き教室という単語が長いそうで、鳳凰が使う教室、略してホウオー室と名付けられた。
全て天香が考えたことなんだが。
「休みだイェイイェイ! 今年も遊びまくってやるぜ!」
悠真が親指を立て、思いっきりガッツポーズをする。
すると突然悠真の背後からスッと優が現れる。
「ダメだよ悠真。そろそろみんな勉強しないと」
「ああ!? 何言ってんだ! 鳳凰は天才の塊だろ!」
悠真は血相を変えて、休みだと言わんばかりに優に言い返す。
「アレが天才だっていうの?」
人差し指を、休みに浮かれている青翔の方に向けた。
「ありゃ例外だ」
冷めきった目を青翔に向ける悠真。
数秒前までお前もそんな状態だったのに。
「じゃあ早速勉強会だね!」
優が白い歯を見せて満面の笑みを浮かべた。
鳳凰のメンバーはうってかわってゲッソリしている。
やはり毎年恒例の地獄の勉強会が始まるのか。
教える側の方がゲッソリだ。
「天香サンも来マスよね?」
海斗が天香に問いかけると、青翔が割り込んできた。
「あったりまえでしょォ〜! 天香ちゃん行くよねェ?」
「私は構わない」
「イェ〜イ!」
再び青翔が、はしゃぎ回る子どものように飛び跳ねる。
「全員参加だね。じゃあ明日の午後、僕の家に来てね!」
優の家で、勉強会という名の遊びをすることになってしまった。