行方不明の姫
□気にかけてしまう存在
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『授業に出ろ』
『授業に出ろ』
『授業に出ろ』
俺は前に、しつこい女からの連続通知という痛みを味わったわけだが、今もなおそれを身にしみている。
「るせーよ天香」
俺しかいないホウオー室に、ひとりごとがポツンと響いた。
授業に出ろと言ってるわりには、天香だって授業中に携帯を触るなどといった違反行為をしている。
それって授業に出ている意味があるのだろうか。
三分おきにラウィンがくるということは、初心者だから早く打つこむことができないのか、それとも先生の目を盗みながら恐る恐るやっているのか。
何やってるんだ思いつつ、自分も人のこと言えないなと複雑な気持ちになる。
「はぁ……」
結局昨日はさんざんだった。
俺が倒したあの男のことは、天香と優が聴きだしてくれた。
どうやら、俺にしつこかったあの女――岡田亜美が関わっていることが判明。
あの男達の姫というのはその岡田亜美のことで、そいつは俺が拒絶したことに腹をたてているらしい。
全くもって迷惑な話だ。
俺は煙草を片手にスマホを覗く。
天香からの通知が一件もなく、酷く喪失感に苛まれた。
先程まで、通知に嫌々としていた俺が嘘のようだ。
最近天香に振り回されている気がしてならない。