最弱無敗の神装機竜

□僕×キミ×ソラ
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久しぶりに会った幼なじみは、とても綺麗な女性になっていた。
僕の中には戸惑いしかない。だって。
僕が知っているフィーちゃんは、小さな女の子だったから。
「ルーちゃん」
ここだけは変わらない、幼なじみ同士での呼び名。僕は照れくさいけど、なんとか返す。
「なに、フィーちゃん?」
フィルフィは無言で、クッキーを一枚僕の口に挟む。
優しい微笑みを向けて、自分も一枚頬張る。
静かな時間。
僕はそんな時間が好きだ。少しだけ、あの頃に戻れたような気になれる。
あの頃の記憶といえば、嫌なことももちろん多かった。
だけどそのなかにあってもフィルフィとの時間は穏やかに光っていて、とても大切に思えた。
「今日はお仕事あるの?」
そう訊ねるフィルフィは少し淋しそうで、ずっと離れたくないと目が強く訴えていた。
「ごめん!今日もリーシャ様の出張にお供しないと」
最近のリーシャ様は、なにかとお忙しくしていらっしゃる。
デスクワークはもちろん、アビス討伐、国内外への出張。
それだけリーシャ様への期待が大きいのだと、騎士として鼻が高いものだ。
だがそれがフィルフィには不満らしく、
「もうルーちゃんにお菓子あげない」
なんて頬を膨らませだした。
そんなフィルフィもまた可愛くて、怒られているのについ頬が緩んでしまう。
「ルーちゃん……」
「ご、ごめん、怒ったよね?でもこれはフィーちゃんが可愛くて」
しかし僕の言い訳を無視して、フィルフィは空を指し示した。
「?」

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