SAO

□小悪魔リフレクション
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彼女はまるで、シナモンのようだ。
一見爽やかなようでクセのある、スパイシーな女の子。それが朝田詩乃。
VRMMORPGのガンゲイル・オンライン内で起こった「死銃事件」がきっかけで知り合って、早一ヶ月。未だに彼女のことは、よくわかっていない。
強く見えるけれど、実は脆い女の子、くらいしか、俺の記憶パーソナリティには入っていない。
だから今日は、彼女と待ち合わせをして、カフェに誘うことにした。
「あんた……またこんなことして……」
と呆れる詩乃。
俺は東京にある詩乃の高校に、バイクで迎えに来ていた。二度目である。
学校の生徒は皆、俺と詩乃に注目している。と、そこに。
「あ、朝田さん!!ちょっとその子とどういう関係なのか、いい加減話してよ!」
「そーだよそーだよ、彼氏!?」
と女子生徒がきゃいきゃいと近づいてきた。詩乃はどうしたものか、と頭を抱えて、なにか、ピンと来た顔をしだした。
俺としては、非常に嫌な予感がしてならない。
詩乃は俺の腕を抱きしめて、女子生徒の問いに答えた。
「そう……彼、私の恋人なの」
キャーッと沸き立つ周囲。汗が噴き出す俺。
そこで俺がとった行動は、
「そうなんだ、彼女とはあーしたりこーしたりする仲でね」
とまぁ、調子に乗ってみたりする。すると今度は、詩乃が冷や汗をかいているようだ。俺はここぞとばかりに調子に乗って
「詩乃……いやハニー。今日も俺のベッドで鳴くのか?いけないやつだ」
「い……いい加減にしなさい!!!!!!!」
バシーン、と真っ赤な顔をした詩乃のカバンが、俺の顔にクリティカルヒットした。

バイクを飛ばして二十分。
都内の安くて綺麗でそこそこ美味いカフェに着いた俺たちは、軽く睨み合っていた。
「まったく……あんた、次にあんなことしたら、そのHPバー吹っ飛ばすからね!」
俺はまだヒリヒリする顔をさすって
「最初に仕掛けたのはシノンじゃないか……」
と情けない声で呟く。
すると詩乃がアールグレイティーを飲みながら、キッと睨むので
「ごめんごめん、俺が全部悪かったです」
全面降伏。
彼女には勝てる気がしない。この先も、ずっと。
「で、今日はなに?あの事件のことなら、もう終わったわよね?」
俺の奢りだと誘い出したので、詩乃は遠慮なくかぼちゃのシブーストとモンブランプリンを注文する。俺もモンブランプリンを注文して、待っている間に話を続けた。
「いや、実は俺……シノンのことあんまりまだ知らないなーって思ってさ。シノンも俺のこと、まだよくわかってないだろ?」
「女の子のフリして私を騙した最低男。それで充分よ」
冷たい……さすが氷の狙撃手。
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