SAO

□サンデイバージンディアボーイ
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夏の昼下がり。
「キリト!!今度の日曜日、空いてる!?」
「あ、空いてるけど……」
「じゃああたしと、あたしの友達と、ダブルデートして!!」

遡ること昨夜。
あたしは中学時代の友人と、メールをしていた。まぁもう高校生だしね、恋バナに花が咲くわけですよ。
で、あたし。
彼氏いないじゃない?好きなヤツがいても。
ついつい、あたしも「彼氏がいる体」を取ってしまって。そしたら友達が、
「ダブルデートしようよ!」
とか言ってきて、断り切れずにオッケーしてしまったわけですよ。馬鹿か!
んでまぁ、そういうことを頼める男子って、あたしにはキリトくらいしかいなくて……って別に、嘘でもいいからキリトとカップルになりたいとか思ってないからね!あくまで仕方なく、仕方なくよ!
そんなわけで、あたしはキリトとデートをすることになった。(ただしダブルデート)
当日。
あたしは前日に買い込んだブランドものの可愛い服で固めて、慣れないメイクもして、くせ毛をヘアアイロンで延ばして、とにかく精一杯おめかしした。
変じゃないかな?とか、可愛いかな?可愛くないかな?なんてアレコレ迷って、遅刻ギリギリに家を出た。
友達とその彼氏、そしてキリトとは新宿のアルタ前で待ち合わせしている。
キリトとは、昨日ALOのイグドラシルシティで綿密に「設定」を話し合っておいた。
あたしたちは、SAOで出会ってずっと付き合っている、結婚寸前ラブラブカップル。
キリトから告白してくれて、もうゾッコン。
……アスナ、ごめん。
アルタ前に着いてキョロキョロと探していると、
「遅いぞ、リ……里香」
「ごめん、迷っちゃった、キリ……和人!」
SAO内のことは、おいそれと口外してはいけない。
本当の名前で呼び合うなんて、なんだか本当に恋人みたい……。
とか思っている間に、友達とその彼氏がやって来た。むむ、彼氏なかなかかっこいいじゃない。
あたしたちはお互いに自己紹介をした後、カップル同士で腕を組んで、新宿駅構内にあるケーキ屋さんでお茶をした。
「しかし、里香にこんなかっこいい彼氏が出来てたなんて……」
「それはこっちのセリフ!あの引っ込み思案な愛美がねー……」
「幸せになりなよ、里香」
「アンタもね!」
ふふふ、なんて笑い合って美味しいケーキを頬張って。
あたしの中に罪悪感が浮き沈み。
愛美、ごめん。彼氏だなんて、嘘なんだ。
ホントは玉砕した相手なんだ。
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