勇者がヘタレで臆病な場合。

□三話目
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「はぁっ…はぁっ…」
漸く次の町(四件目)にたどり着いた勇者御一行(まだ二人)
「安心してください。後々二人増える予定ですから。」
「待って待って!!魔法使いさんそれメタ発言!!」
「知ってます?メタ発言って言葉がメタ発言なんですよ。」
ちなみに二人増える予定は本当の事である。
ちなみに一人は
「わーっ!!わーっ!!ネタバレ禁止だよ!?何してんの!?て言うか話続けようよ!?」
かくして、彼らは始まりの町。(いや、実際そうでもない。)マトヒールにたどり着いた。
人が少な目でのどかな、町と言うよりは村に近いかもしれない。
勇者は久々の人工建築物に即刻宿屋のベットに倒れ込みたい気持ちに駆られた。
と言うか駆け出した。
「何やってるんですかアミルさん。」
「んぎゅっ」
しかしジェミニに阻害されて敵わなかった。
首根っこを捕まれたのだ。
「魔法使いさん止めないで!?僕は今すぐベットに飛び込まないと死んでしまう気がするんだ!!」
「宿屋の戦闘イベントに準備せず突っ込んで。前の町(王都)まで逆戻りするのはどちらが良いですか?」
「ちょっと道具屋とか寄ろっか」
ただのボケではない魔法使いである。
道具屋と武器屋が無い代わりにファ●マ があった。
「待って!!ここ一応ファンタジー設定!!なんでファ●マがあるの!?」
「そこにファ●マが有るからです。」
「真顔だけど理由じゃない!?」
勇者は頭を抱えて座り込んだ。
「もうやだ何このカオス。」
作者の文学能力が無かっただけの話である。
「君と脱線するRPG」
「ちょっと魔法使いさん黙ってて。」
勇者は必要そうな物をとりあえず買い込んで置いた。次の町がどんなに遠くても良いように。
馬車を買うなんて非現実的な考えはファンタジー設定なのに思い付かなかった。
「魔法使いさん…次は何処に行くのか目標を決めながら行かない?」
そう提案して見たところ。
「そうですね。西にある人気の無い村と言えばなんとか情報は集まりそうです。任せましたよアミルさん。僕は宿を取ってきます。」
すべてを丸投げされた。
つまりは元ニートが頑張る羽目になった。
しかし彼にはとあるルールが適用された。
王道設定の物語の主人公はコミュ力MAX
つまりは聞き込みなんて御手の物なのだ。
「あ、すいません。ちょっと良いですか?」
「ん?」
手始めに知らない村人Aに話しかけた
「西の方角に人気の少ない村とかって…ありませんか?」
少し遠慮気味に聞くと、村人Aは考え込むようなしぐさの後。
「この先の、森を抜けたところに名前もない小さな集落があるんだ。本当に人が少ないけどね。」
勇者はおお、案外早かったな…と。思いつつその後も少し聞いて回ったが。出てくる答えは全て同じだった。
宿屋に戻ってみると
「あっ、アミルさん。」
「随分と寛いでるね!?」
ジェミニがベットでぐったりして気持ち良さそうだった。
しかしアミルをその視界に捉えると正座して向き直り
「どうでした?何か重要な情報は得られましたか?」
「……まぁいいや。この村から西の方にある森を抜けたところに小さな集落があるらしいよ。」
と、村人から聞いたすべてを伝えきる。
ジェミニは真面目な顔で聞いていた。
「では…その集落に行きましょう。」
ジェミニは頷いて、アミルは少しほっとして…ジェミニが寝転んでいるベットとは違うベットで布団を被った。
「じゃあ…明日は早そうだから…僕は早めに寝るね…ふぁ…」
そのまま寝付いてしまった。
「……全く…単純なお人だ…」
と、ジェミニは独り言ちながら…照明を消して自らも布団を被った。

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