勇者がヘタレで臆病な場合。

□十話目
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朝。村長の家

「おはようございます!!」
階段から転げ落ちるように降りてリビングに顔を出したアミル。
そこには凄く優雅にお茶を飲んでるジェミニと欠伸をして出た涙を拭ってるシエルが居た
「あ…アミルおそよう。」
「おそようございます勇者さん。」
「待って。今朝6時半」
まだおそようの時間ではない。
筆者ですら起きるの6時半なのに。
「て言うか君達いつ起きたの…?」
二人は顔を見合せて、アミルに向き直り、声を揃えて
「5時」
「5時から起きて今まで何してたの。」
シエルがんー…と考えて
「薪割り?」
意外に普通に回答した。
此処にネタをブッ込むべきじゃないか。
とアミルは何となく思った。
そしてジェミニの方を見る
「僕は朝食作りの御手伝いをしてました」
「うん。不安しか無いんだけどどうしよう。」
「ちなみに勇者さんの朝食は此です。」
差し出された皿の上には


紫の毒々しいキノコを丸焼きにしたものが乗っていた


「待って。待って。これなに?」
「さっきそこに生えてたキノコです。立派ですよね。」
「うん立派だね。食べれるのこれ?」
「さっき毒キノコ図鑑でそっくりなの見ましたけどきっと大丈夫です!!」
「何を持って大丈夫だと判断したのかな!?」
「勘です。」
「僕は君の勘で僕の生死は決まるの!?」
もう既に何時もの流れである。
そんな二人の会話に助け船を出そうとしたのか、シエルが発言をした
「大丈夫だって。俺さっきそれ食べたけど生きてるし。」
アミルは硬直した
「………ど、どんなだった?」
アミルは恐る恐るシエルに聞いてみた
するとシエルはカタカタと小さく震えて視線を反らし、真っ青な顔で
「……………俺の存在が…無に帰りそうな味がした…」
震え声でそう言った。
アミルはそれを見て決意した。

絶対食べない。
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