勇者がヘタレで臆病な場合。

□十三話目
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ジェミニの指示によって、アミルとシエルは座らされていた。そのとなりには少しサイズの小さくなったフェンリルと呼ばれた狼が座っている。
「はいせんせー。」
アミルが手を挙げる。
ジェミニはそれを学校の先生の様に当てる。
「今から何をするんですか?」
アミルがそう言うとジェミニは呆れながら
「待ては犬でも出来ますよアミルさん。」
と言った、アミルはHPをごっそり持っていかれた。
おかしいな真理の扉なんて開いて無いのに。
「まず、精霊と呼ばれるものをご存知ですか?」
ジェミニがそう問うが、シエルもアミルもきょとんと首をかしげるのみ。
知らないんですね、と言いながらジェミニは続ける。
「精霊とは、この世にある魔術を司ったりするものです。さて、此処で問題ですがこの世界には魔術と呼ばれる物が二つあります。答えられますか?」
とジェミニが聞くとアミルが素早く手を上げる。
ジェミニは再び先生の様に当てる。
「いつもジェミニさんが使ってる奴しかわかりません。」
と真顔で答える。
わからないのに手を挙げるとはなかなか勇気が要りますよね、ね?
「僕が一種類しか使って無いのがわかってるなら十分です。アミルさんにしては凄いですよ。」
「褒めてる?貶してる?」
「どちらかと聞かれれば貶していると答えます。」
シエルは二人のやり取りをぼんやりと見ていた。
「僕が普段使っているのは精霊が存在しているだけで放っている魔力と自分の魔力を掛け合わせて扱うことが出来る元素魔術です。元素、とは精霊の放っている魔力を元素と呼ぶからです。……実はここ迄一般常識です。」
ジェミニが呆れたような顔でアミルを見る。
アミルが顔を逸らしながら「学校通ってなかったから…」と言い訳するも、「余計に悪いです」と突っ込まれた。
「そしてもう一種類が精霊魔術。精霊の魔力ではなく、精霊そのものの力を借りる魔術ですね。しかしこれは特殊条件として、精霊と友好関係を築く事が大切です。…まぁ魔術系は全部素質が必要なんですがね。」
シエルが手を挙げる。
アミルがシエルの方を向いて、ジェミニがシエルを当てる。
「先生つまり何がいいたいの?」
と、本題がよくわからなくてちょっとしょんぼり顔のシエルが聞く。
「すいません魔術方向に話が逸れてしまいましたね。」
テへペロ、とした後、ジェミニは何について話していたか?と考えながら本題に戻る。
「ええっと…ああ、そうでしたね。この精霊の事について、ですが。精霊には様々な姿形があります。人の形をしている者も獣の姿をしている者もあります。精霊にも力に個体差があります。大体獣型の精霊の力が強いのですが、人型に一種類例外が居ます。まぁこれは一度置いておいて、獣型について語りますね。精霊の獣型には代表的な物が二匹います。さて、なんでしょう?シエルさんいくら話が長いからと言って寝ないで下さい」
少し舟を漕ぎ始めていたシエルは目を擦る。
アミルが首を傾げつつも手を挙げる。
「ドラゴン…?」
「惜しくないです。全然ハズレです。答えは龍と狼です。」
龍とドラゴンは同じではないのか?この場合答えはいいえです。
この世界ではドラゴン=モンスターで龍=神獣なのでドラゴン≠龍なのです。
「龍は案外色んな属性の個体が存在しますが、狼は唯一氷属性だけです。そしてその精霊の名前はフェンリル。さて、最近耳にしましたが何処ででしょうね。」
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