勇者がヘタレで臆病な場合。

□十九話目
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「せめて部屋はわけましょうよ」

「えっ、なんで…?」

「乙女心に気を使いなさい糞勇者」

「酷い!?」

「おやすみー」

「この状況で早々に寝ようとしないで下さい元凶」

「え、俺元凶なの?」

「貴方が部屋一緒にしないかって言ったんでしょう」

ジェミニは机をトントン…と叩いた。
アミルもシエルも不思議そうな顔で首をかしげるばかり。
ノエルは三人のやりとりに苦笑いを見せて「お気になさらず」と言ってベッドに潜り込んだ。

シエルはふわりと欠伸をするとベッドの上で丸くなり、すやすやと寝息をたてる。

アミルもそんな二人を見て眠くなったのか「ジェミニさんおやすみー」と目を擦り、ベッドに埋もれた。


取り残されたジェミニはポツリと零す

「常識を弁えているからこそからかっているのに…常識人が一人も居なかったら誰も弄れないじゃないですか」

「僕もうツッコミ疲れたんだけど」

「起きてたんですか寝てくださいよ糞勇者」

「さっきから口が悪いよね!? って待って魔法で無理やり寝付かせようとするの止めて!?」

体を半分起こしてツッコミを入れていた勇者は、ジェミニの魔法によって再びベッドに沈んだ。
今度は先程よりも重く沈んだ気がする。

「きっと疲れたんですね、寝ましょう。」

二日連続で旅に仲間が加わりそうな状況というのは、人見知りな自分にはあまりにも急すぎたのだろう、と枕に顔を伏せた。
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