勇者がヘタレで臆病な場合。

□二十四話目
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教会の地下。
湿った、暗い。
牢獄のような場所にノエルは閉じ込められていた。
牢獄の様な、ではない。
牢獄だ

手錠の類は掛けられていないものの、武器は取り上げられて。
場が悪いのか魔術を組み立てることも出来ない。

掴んだ鉄格子はひんやりと冷たい。
はぁ、と溜息をついてあたりを見回す。
見渡す限り全てが湿った、濁りの深い闇に包まれている。

「…寒い」

ひんやりとした空気に背筋が震えて。
その場に座り込んだ。
ふと、脳裏に倒れたシエルが蘇る。
不安に身を縮こまらせて、ノエルはそっと名前を呟いた。
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