勇者がヘタレで臆病な場合。
□二十五話目
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何か、聞こえた気がして、ノエルは顔を上げる。
―――うわぁあああっ!?
これは、悲鳴だ。
それから…ああ、転がり落ちてるのか。
えっ?
ノエルは自分の耳を疑う。
徐々に近くなる音源にどうすればいいのか分からずおろおろとした表情をするしかない。
牢屋から出られない以上、助けに行くことも出来ない。
そして、目の前に転げ落ちてきた人物にノエルは目を丸くする。
「アミルさん!?」
結構長い間転がっていたように思えるが何故無事なのだろうか、主人公補正だろうか、つよい。
アミルは体を起こして、頭を振り、意識をハッキリさせてノエルを見る。
「あ、ノエルさん。此処に居たんだ…良かった。怪我はない?」
ノエルは怪我がないことを伝える為に、首を横に振る。
アミルは安堵したように笑顔になった。
アミルは鍵を探そうとあたりを見回すが…それらしきものがありそうな所が全くない。
仕方ないから、とアミルは剣を構えた。
「そ、それっ」
振り下ろすと、ガシャンと
鉄格子の鍵の壊れる音がした。
ノエルは飛び出て直ぐにアミルに飛び付く。
「アミルさん速く!! あの男の人の目的はシエルさんです!!」