let go...
□8.追想 翻弄 の段 (前編)
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「名無しさんさぁーんっ!気持ちいいですかぁ!?」
「ば、ばかっ!こういうところでは話しかけたりしな」
「はいっ!気持ちいいですよっ!」
「兄ちゃん、なんで、そんな顔を真っ赤にしてるのぉ?」
「し、秀作っ!」
優作さんと一緒にいると続く未来予想図がいつも温かくて。ほっとする。一秒先だって想像もできないような、そんな彼との恋は目が覚めれば儚く終わってしまう夢と同じで。
「また、考えてる…。もう、嫌。」
湯の中に顔を口まで沈めて、ブクブクと泡にする。結局、好きでも嫌いでも、気がついたら彼の事を考えている。それは、まるで私の心を乗っ取られているようで。
「あっれー?もう一人のお客さんって、利吉さんだったんですかぁ!」
「!」
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