忍恋

□4.彼女と私の距離 の段
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父から久しぶりに連絡が来た。
連絡が来ること自体が珍しいのに、急ぎで忍術学園に来て欲しいなんて。
何事かと仕事を調整し、向かった。


「失礼します。」

「…利吉か。」


戸を叩くと、やけに重い声が返ってくる。そこには少し疲れているような土井先生もいた。


「利吉くん、すまない。君を呼んでもらうよう頼んだのは私なんだ。」

「お二人の雰囲気から察するに、ただ事ではなさそうですね。」

「…実は私も君を呼んでくれと頼まれてね。」

「誰からですか?」

「彼女はひどい怪我をしていて、私にそれだけ頼むとまた昏睡状態に戻ってしまって。…私と一緒に医務室へ行ってもらえないか?」


土井先生は私の質問には答えず、立ち上がる。父を見ると難しい顔をしていて、顎で"行け"と促された。"彼女"と言うことは女性か…会えばわかると言うことだろうか?

私は黙って土井先生の後を追う。
医務室の戸を開けると、新野先生が「変わりありませんよ。」と言い出ていった。





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