忍恋
□7.触れた心の傷 の段
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意識を取り戻してから更に二週間が過ぎた。ほたっておいたら、しれっと逃げて行ってしまいそうなのでほぼ毎日、時間を遣り繰りしながら彼女の元へ通った。
いつものように医務室に行っていると、顔を真っ赤にして走り去る…恐らく不破雷蔵が医務室から勢いよく出てくる。私は咄嗟に天井にとんで隠れ、何があったのか気配を消して中のようすを伺う。
そこには彼女を抱き締めて倒れる六年生の善法寺伊作の姿があった。しかし、雰囲気からそういう感じでもなさそうで、彼は彼女を抱いてそのまま胡座をかいて座る。会話からなんとなく状況を掴む。
なるほど、誤解か。そろそろ出ていこうと下りると、彼女が突然、彼に口付ける。
「ええーっ!?」
「誤解だと、困るんでしょう?なら、事実にしちゃえばいーじゃない。今から学園長先生のところまで連れてってもらうし、お礼。」
「そ、そーいう問題じゃっ!」
物凄く同様している彼は口許を抑え、顔を真っ赤にしている。…彼女は学園長先生のところに行きたいのか。なんで私が来るのを待てないんだ。
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