一万ヒット感謝企画SS。
□独り占め。
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寝返りを打って何か柔らかいものに触れる。
「んっ…。」
きっと夜が明けたくらいで何時もより早いはずで。まだまぶたが重くて開きそうもない。それにしても、今日はやけに体が怠いな…。
そこまで考えてまだ夢現だった僕の脳が一気に覚醒する。
そ、そうだっ!き、昨日っ!
でも、もしかしたら夢だったのかも知れない…目覚めて居なかったら僕は立ち直れない。数分の葛藤の後、恐る恐る目を開けると、そこには彼女が昨夜のままの姿で寝ていて。
これでもかってくらい、顔が熱くなる。鮮明に思い出せる昨夜の艶姿に、隣で眠る彼女の寝顔に、まだ夢でも見てるんじゃないかと疑ってしまう。
布団から出た白い滑らかな肌を肩から鎖骨、首筋の順に目で追うと、僕の所有印が赤く小さい花を咲かす。夢じゃ…ないんだ…。
も一回、触れたいな。
寝顔をじーっとそれこそ、穴が開いちゃうんじゃないかと思うくらい見つめて。
「名無しさんさん。好きだよ。」
言葉にして実感する。もう、我慢することも、気持ちを押さえることも、必要のない僕は世界一の幸福者。
起きるまで、独り占め。
起きてからも、独り占め。
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